紫外線の功罪│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2003年9月1日

紫外線の功罪

紫外線による健康障害

紫外線の功罪
紫外線とはスペクトルが紫色の外側に現われる電磁波のことで、波長は可視光線より短くてA、B、Cに分類されます。かつて紫外線の殺菌力が注目されて結核の治療に応用されましたが、今では逆に免疫力の低下を招いて感染症を誘発するとされています。人体への有益な作用は唯一、ビタミンDの活性化を促して消化管からカルシウムの吸収を高めることだけです。太陽紫外線が一番強くなる時間帯はだいたい11時~14時ごろで、たとえ曇っていても紫外線量はかなりあるので油断できません。太陽からオゾン層を突き抜けて地表に届く紫外線のうち特に生物学的作用を引き起こすのは太陽光の僅か0.5%の紫外線B(中波長)ですが、近年、紫外線A(長波長)も人体に有害であることが判明し、さらにオゾン層破壊により最も有害な短波長の紫外線Cまでもが地表に届くようになり、光老化、特に皮膚癌や白内障の増加が懸念されています。紫外線による影響で最もポピュラーなのが日焼けです。色白の人に目立ちますが真夏の太陽光を20分も浴びれば痛々しく皮膚が赤くなりますがこれをサンバーンと呼びます。これは皮膚表皮の角化細胞や色素細胞の遺伝子DNAが傷ついた結果血管を拡張させるプロスタグランディンが活性化を受けたためです。傷害を受けたDNAは速やかに修復されていきますが、一部は傷ついたまま残り、紫外線への暴露量に相関して傷害DNAは増加して皮膚癌を招きます。
一方、先天的にDNA修復能に欠陥があり皮膚癌を高発する色素性乾皮症という遺伝病がありますが、健常人に比べ1000~2000倍も皮膚癌になりやすく、5~6才でも発癌します。サンバーン2~3日後に皮膚は茶色を帯びてきますがこれをサンタンと呼びます。サンタンには即時黒化と遅発黒化があり、前者は色素細胞内のメラノソームが紫外線Aにより細胞内に再分布される現象で数時間後に消失します。後者は紫外線Bにより色素細胞数の増加や樹枝状突起の成長、メラノソーム数の増加、メラニン量の増加などによります。気になるシミ、シワはというと、鹿児島県と秋田県の女性約700人で比較したデータでは、鹿児島県は秋田県より紫外線Bが約2倍ほど多く、シワの出現は鹿児島では平均6才早く、シミも鹿児島の40才は秋田の60才と同程度との結果です。また、農業、漁業に携わっている人の顔に見られる、深い溝で皮膚が仕切られる菱形皮膚も、紫外線Bによって真皮の弾力線維が変性した結果です。眼に対しては、雪目に代表される光線角結膜炎や帯状角膜変性、翼状片、白内障です。紫外線Bは白内障の原因となり、論文ではアイスランド人よりもシンガポール人に白内障が多く、サングラスなどでの予防が有効です。
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