腹痛│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2003年11月1日

腹痛

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腹痛
腹痛はお腹の風邪から重篤な疾患に至る様々な病態で自覚する症状です。腹痛を診察する場合は、まず消化器、婦人科、泌尿器等のどの領域の疾患かを鑑別し、緊急性があるか否かを判断しなければなりません。腹痛で病院に来た患者さんにとっては早く痛みを取ってもらいたいとは思いますが、正確な診断と適切な処置をするためには、少々時間が掛かっても詳細な問診が重要となります。(1)痛みの種類;痛みには強-弱、鋭-鈍、持続-間欠などの違いがありますが、以下の3種に分類されます。①内臓痛;臓器の虚血、炎症、被膜伸展、消化管の痙攣で起こり、痛みの部位はあまり限局されません。②体性痛;腹膜由来の痛みで、強くて鋭く、限局的です。③関連痛;内臓痛の刺激が皮膚知覚神経に作用して発生する皮膚の痛みで、原因臓器によって一定の部位に痛みを生じます。自発痛と、診察でお腹を圧されたときの圧痛にずれが存在することがあり、特に初期の虫垂炎ではしばしば心窩部~臍上部に痛みや不快感を自覚し、時間と共に右下腹部に痛みが移行します。
また、虫垂炎には家族歴が存在するのも参考になります。また、上腹部の痛みは狭心症や心筋梗塞といった心疾患であったり、肺炎や肋膜炎などの肺疾患である場合もあるので注意が必要です。時には臓器ばかりでなく、解離性大動脈や大動脈破裂、腸管膜動脈閉塞といった血管系の疾患も鑑別する必要があります。痛みの部位からおおよその疾患は類推可能ですが、確定診断を得るためには検査が必要です。非侵襲的な胸部及び腹部レントゲン検査、検尿、採血、超音波検査、CT、内視鏡検査などの他に、血管造影や外科的処置が必要になることもあります。 

女性と小児の腹痛

女性に特徴的なのはやはり下腹部痛を来す女性器由来の疾患です。通常の問診に加えて正確な月経周期や不正出血の有無を聞く必要があります。多い疾患は卵巣腫瘍茎捻転や卵巣腫瘍破裂、子宮外妊娠です。小生が研修医の頃、指導医の先生から若い女性の腹痛を見たら子宮外妊娠と思えとまで言われ、必ず鑑別しなければならない病態です。妊娠中は増大した子宮のせいで虫垂の位置が上腹部に移動するため虫垂炎が起きても診断が遅れて腹膜炎になることがあります。小児は的確に症状を表せないため、ほんとうにお腹が痛いのかどうかから診断していきます。また、親御さんから「・・・ではないか?」いわれても先入観を持たずに客観的に判断する必要があります。虫垂炎は見落としてはならない疾患ですが、乳幼児では感染性胃腸炎の他に腸重積、鼠径ヘルニア嵌頓、便秘、睾丸捻転症などを中心に鑑別し、血管性紫斑病、メッケル憩室、胆道拡張症、食物アレルギー、心因性なども原因となります。
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