うつ病│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2003年10月1日

うつ病

うつ病概念の変遷

うつ病
うつ病は抑うつ気分が根底にあり、それに伴い意欲の減退や思考の障害を起こし、さらに多彩な身体症状を呈する病気です。最近の疫学的調査では生涯有病率は10%を越える頻度の高い疾患であり、患者数は増加しています。うつ病概念の歴史的変遷は、紀元前4世紀に遡り、ヒポクラテスはメランコリー(うつ状態)は黒胆汁の過剰、マニー(そう状態)は黄胆汁の過剰によるという体液説を唱えていました。その後しばらくはメランコリーとマニーは同じ病気が異なる形で交互に現われる循環病と考えられました。20世紀になり、ドイツ精神医学会でうつ病は内因性、心因性(素因、性格、体質)に基づくものと提唱され、さらに第二次世界大戦後には引っ越しうつ病に代表される状況論説、つまり環境因子に起因するうつ病やストレス説が注目されました。以来、うつ病は様々な状況下で研究の対象となり、内分泌系、自律神経系、免疫系との因果関係にまで及びました。うつ状態を誘発する因子としてはアルコール、ステロイドホルモン、インターフェロン、βブロッカーなどの多岐にわたる薬物や、パーキンソン症候群や脳卒中後などの脳器質性疾患によるもの、インフルエンザ後、甲状腺や副腎機能低下症、出産後、癌早期の警告うつ病、糖尿病や心筋梗塞後などがあります。現代社会で問題になってきているのが軽症うつ病、仮面うつ病と呼ばれるものです。うつ病患者さんの1/3は専門病院を受診しますが、1/3は内科などを受診し、残り1/3は受診していない状況です。典型的なうつ病では精神症状である心の悩みを訴えますが、軽症では身体症状である不眠、便秘、腹痛、身体痛、頭痛、食欲不振、倦怠感などが前面に出てきます。

壮年期うつ、老年期うつ

うつ病の初発年齢は児童期から老年期の全年齢層にみられ、女性に多い傾向がありますが、なかでも20代後半から30代に多くみられます。特に壮年期(働き盛り)うつ病には典型例が多く、抑うつ気分、抑制、不安という3大精神症状がそろっています。女性では涙もろさや寂しさ、不安から人にまとわりつく行動で気付かれることがあります。心配症であったり取り越し苦労が目立ち、不安は強い焦燥感やパニック発作にもなります。自責感が生じやすく、ここに抑うつ気分が加わると悲観的思考や自信喪失となり、自殺念慮を持ちます。仮面うつ病が多いのもこの年代です。老年期ではそれまでの人生背景や脳を含めた身体的状況を反映するため、症状は様々です。発病には近親者との死別、引っ越し、財産の喪失、定年退職などの生活事件の関与があり、なかでも役割人間として働くことに生き甲斐を見いだしてきた、エネルギッシュでまじめ、几帳面な人が発症しやすく、妄想性をなることがあります。
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