骨折│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2003年12月1日

骨折

高齢者の転倒・骨折

骨折
転倒の研究は今から約50年ほど前にイギリスで始まりました。我が国は世界一の長寿国でありながら後れをとっていましたが、近年の老年医学の発達でようやく高齢者における重要性が認知されるようになりました。国際統計分類によると65歳以上の不慮の事故のうち、物を詰まらせた窒息(26%)、交通事故(23%)に次いで第3位が転倒・転落(18%)になっています。以前は寝たきりの原因として多かったのが脳卒中でしたが、転倒による大腿骨頸部骨折で寝たきりになる例が増加しています。大腿骨頸部骨折は8割が転倒によるもので、女性3に対して男性1と女性に多くみられます。転倒する場所は居室33%、道路29%、駅・空港7%、階段6%で、廊下、庭、デパート・マーケットの順です。日本人は欧米人よりカルシウム摂取量が少ないのに骨折の頻度は1/2~1/3と少なく、その理由に短足日本人は解剖学的に大腿骨頸部の長さが欧米人より短いうえに日本的なライフスタイル、つまり魚をよく食べる、布団の上で寝る、日本茶を飲む、運動するなどが明らかとなっています。
逆に、骨折を起こしやすいリスクファクターはADLの悪い人、脳卒中の人、麻痺の既往がある人、糖尿病の既往がある人、日光浴をしない人、ベッドで寝たりスリッパを履くなどの西洋的な生活様式、不眠傾向にある人、年に2回以上転倒する人などで、ここ10年で骨折する人は約2倍に増加しています。転倒の発生頻度自体が日本人の10~20%に比べ、欧米人では30~40%と多いのは足の長さや背の高さも転びやすさにつながっていると思われます。トイレの違いも重要で、しゃがむ動作で常に腰の筋肉を強化しており、床の上げ下ろしも含めて重心の上下動で知らず知らずのうちに足腰の筋肉を鍛えて転びにくくしています。在宅高齢者では転倒した人の約10%に骨折が発生しています。骨折の要因には転倒、低骨密度、ADLの悪さが挙げられますが、なかでも横に転倒すると衝撃がもろに骨に伝わるため最も危険です。女性には高度の骨粗鬆症があるため、尻餅で脊椎の圧迫骨折を来します。骨折を予防するためには高骨密度、転倒予防、ヒッププロテクターのうちで転倒予防が最重要です。転倒の原因は、つまずいた、滑った、めまいがした、足がふらついたが多く、基礎疾患が原因であることがしばしばで、変形性関節症、パーキンソン病、糖尿病性末梢神経障害、痴呆などでのつまずき、脳血管障害や起立性低血圧でのめまいなどです。睡眠剤や精神安定剤が効き過ぎた場合や降圧剤による低血圧もふらつきの誘因です。最近、東京都老人医療センターや東京厚生年金病院などに転倒予防クリニックが開設されており、一度転倒した人が受診して転倒した原因を調べ、運動指導しています。
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