ライフスタイルと疾患(各論)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2005年11月1日

ライフスタイルと疾患(各論)

ハイライト
●遺伝素因
●環境因子
●虚血性心疾患
●脂肪食
●高コレステロール
●内蔵型肥満
●喫煙
●運動
●ビタミンC
●尿酸

動脈硬化

今回は、ライフスタイルと動脈硬化ついて概説します。動脈硬化は複数の遺伝素因と複数の環境因子によって発症進展が規定される病態のため、ライフスタイルは当然のことながら環境因子として動脈硬化に影響します。世界一の長寿国である日本は欧米に比べて狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症率は低いことで有名であり、その原因は遺伝素因のほかに日本人の食生活(低脂肪食)によるところが大きいと考えられています。動脈硬化の危険因子は年齢、性、家族歴といった介入不可能な、避けられない因子と、喫煙、高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病といった介入可能な、ライフスタイルによる因子とに分けることができます。果たしてほんとうにライフスタイルの違いが動脈硬化の危険因子となりうるのか?その答えは、避けられない遺伝因子が似ていてライフスタイルが異なる「移民研究」で確かめることができます。例えば、日本、ハワイ、カリフォルニアに住む日本人(日系人)中年男性の心筋梗塞の発症率を比較した報告によりますと、ハワイは日本の約2倍、カリフォルニアはハワイの約1.5倍でした。この研究で危険因子とされたのは収縮期血圧、血清コレステロール、肥満度、年齢でした。別の報告でも前述の危険因子に加えて中性脂肪、尿酸値、喫煙が挙げられています。飲酒は負の相関でした。
Ⅰ食生活と動脈硬化;日本、ハワイ、カリフォルニアの栄養比較調査では、3地域の総脂肪摂取率はそれぞれ15%、33%、38%と大きな違いがあり、これが虚血性心疾患の発症に影響していると考えられています。その他多くの報告からも、脂肪、コレステロール摂取率は血清コレステロール値、虚血性心疾患の発症と相関するとされています。元来、日本人における脂肪とコレステロール摂取率は欧米諸国に比べて非常に低かったのですが、高度経済成長後に栄養事情が一変し、1955年には21gだった脂肪摂取量が90年には58g、総エネルギー摂取量の25%にまで上昇しました。これを反映して日本人の肥満傾向と血清コレステロール値の上昇が進みました。血清コレステロール値が200mg/dlを超えると虚血性心疾患の発症が急激に増加することが知られており、世界的に200mg/dl未満が望ましいとされています。このような状況を考えると、日本も食生活を見直すべき時期にあるといえます。
Ⅱ肥満と動脈硬化;肥満には健康女性にみられる皮下脂肪型肥満(西洋なし型、下半身型)と中年男性に多い内蔵型肥満(リンゴ型、中心性)があり、後者が動脈硬化と関連しています。内蔵型肥満はインスリン抵抗状態にあり、糖尿病や高脂血症、高血圧を引き起こします。簡単な指標があり、ウエスト計で男性は85cm、女性は90cm以上あると内臓型肥満状態にあり、いわゆるメタボリックシンドロームから動脈硬化に進展します。
Ⅲ運動と動脈硬化;運動はエネルギーを消費することによって肥満の予防、改善、中性脂肪の低下、善玉コレステロールの上昇、高血圧の改善、インスリン抵抗性の改善、糖尿病の予防など幅広い効果があります。高血圧や喫煙者においてさえも運動で体力がアップした人は、しなかった人に比べて虚血性心疾患の発症は低下します。特に、パワートレーニングよりもジョギングなどの有酸素運動が有効です。
Ⅳ喫煙と動脈硬化;禁煙によって虚血性心疾患が減少することは明らかです。喫煙による動脈硬化発症のメカニズムは、タバコの煙、タールが血管に酸化ストレスという障害をもたらし、そこに白血球やマクロファージがこびりつき、コレステロールが沈着して動脈硬化ができあがります。この反応はビタミンCで改善されることが判明しています。 
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