日本人の癌予防について│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2007年5月1日

日本人の癌予防について

ハイライト
●喫煙
●体型
●アルコール
●運動
●ビタミンD
●食物繊維
●塩分

発癌のリスクと予防

今回は臨床予防医学研究会における「日本人の癌予防」から、特に一次予防についての報告を紹介します。
【総論】
最初に発癌リスクですが、日本人において喫煙は非喫煙者に比べて何らかの癌になるリスクが1.6倍になります。さらに、受動喫煙といって他人のタバコの煙(副流煙)を吸うことで肺癌リスクが増加してしまいます。肥満は食道腺癌、大腸癌、閉経後の乳癌、子宮体癌、腎癌などを増加させます。アルコールは口腔・咽頭・喉頭癌、食道癌、肝臓癌、乳癌を増やします。次に、限りなく怪しいのが保存肉、ハム・ソーセージと大腸癌、塩蔵食品や塩分と胃癌、熱い飲食物で口腔、咽頭、食道癌です。逆に、発癌抑制因子として確実なのは運動が結腸癌予防に、野菜・果物が口腔・食道・胃・大腸癌を予防する可能性が大、運動も乳癌抑制大です。最近注目されているのは骨粗鬆症の治療で用いるビタミンDが大腸癌等いろいろな癌に対して予防的に働くのではないかと云われており、ビタミンDは皮膚でも紫外線から合成されるため、適度に日光に当たることは良いことです。ただ、皮膚癌に関してですが、黄色人種である日本人には少ないので、それほど心配しなくても良いようです。WHOは癌予防指針として以下の事を謳っています。適正な体重(BMIで18.5~25)、定期的な運動の継続、毎日60分の歩行、飲酒しない、してもビール大瓶1本か日本酒1合、中国式塩蔵魚、加工肉の制限、野菜・果物を一日400g、飲食物を熱い状態で摂らないなど、食事に関連してこれだけ勧めています。
【喫煙】
タバコが発癌のリスク確実とされているのは以下の部位や臓器です。口腔、鼻腔、副鼻腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肺、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部、骨髄性白血病。我が国の男性の癌患者は年間約28万人ですが、このうち約8万人がタバコが原因となっています。女性の癌患者は年間約20万人で、そのうち8000人程がタバコが原因とされています。
【飲酒】
WHOによる飲酒関連癌は口腔、咽頭、喉頭、肝臓、食道、乳癌とされていますが、日本人に増えている大腸癌は飲酒習慣との関連が指摘されています。食生活の欧米化で肉や脂肪食の増加、野菜の減少がリスク要因と思われていましたが明らかな統計的結論が出ておらず、むしろ飲酒人口が増え、一日一合以上飲むと1.4倍、2合以上で2倍に大腸癌が増えると推計されています。では、お酒とタバコ、両方ではどうかというと、タバコを吸わないヒトは飲んでもさほどリスクは上がりませんが、吸って飲むヒトは、少ない飲酒量でも発癌リスクが跳ね上がります。
【体型】
体型と癌の関係ですが、欧米では肥満は大腸癌、食道腺癌、閉経後の乳癌、腎臓癌、子宮体癌の増加が指摘されていますが、我が国では欧米人程ひどい肥満(BMI30以上)は少ないため、さほど大きな問題にはなっていません。我が国の男性においては大腸癌と高度肥満(BMI30以上)は関連しており 、約1.4倍の発生リスクになります。他方、日本人は太って癌になっているヒトよりも痩せて(BMI18.5以下)癌になっているヒトの方が多いのが事実です。癌になったから痩せたのだといわれていましたが、20才の時の体重や発癌数年前の体重などの聞き取り調査からの解析で、やはり痩せている方が発癌リスクは高いとされています。メカニズムは、痩せていると栄養状態が不良で、免疫力が悪く、発癌リスクが上昇すると推定されています。 一方、日本人女性では体型と発癌に因果関係は見いだされていません。
【野菜・果物】
摂取不足は口腔、食道、胃の癌との関連があります。大腸癌では、一日10g未満しか食物繊維を摂らないと発癌リスクは上昇しますが、かといってたくさん食べれば予防できるわけでもありません。
【塩分】
胃癌のリスクであり、ヘリコバクターピロリ菌感染が助長させます。
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