生活習慣病 その1│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2001年10月1日

生活習慣病 その1

高脂血症

生活習慣病 その1
すっかり秋らしくなってきた今日この頃です。練馬区では毎年恒例の区民検診が始まっています。検診の内容にはいくつかありますが、今回は生活習慣病の一つである高脂血症について、最近の知見をご紹介します。日本動脈硬化学会は今年6月に動脈硬化症の新しい診療ガイドライン案を発表しました。血清脂質に関する我が国初の大規模研究(J-LIT)に基づいて、高脂血症の基準値を緩和しました。つまり、総コレステロール(TC)は240mg/dl以上、悪玉コレステロール(LDL-C)160mg/dl以上、善玉コレステロール(HDL-C)は40mg/dl未満です。その根拠はというと、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクがTC値240mg/dl以上、LDL-C値160mg/dl以上で初めて有意に上昇することが判明したからです。元々のTC値220mg/dlは欧米の研究結果を参考にして提唱されており、欧米に比べて冠動脈疾患が5分の1~10分の1しかない日本人には、その値の根拠が明確ではありませんでした。
欧米並みに厳しく管理する必要があるのか否か、長い間疑問がありました。今回のJ-LITの結果に基づいて、年齢、性別、冠動脈疾患のリスクファクター(喫煙、高血圧、糖尿病)、脂質値などから個々に適した治療方針が立てられるようになりました。特にLDL-C値を1mg/dl下げるよりもHDL-C値を1mg/dl上昇させた方が冠動脈疾患の発症率を2倍近く減少させることが判明したため、総コレステロール値だけを見て治療しないように注意が必要です。

薬の弊害

高コレステロール血症の治療薬の代表はスタチン系と呼ばれるものです。各製薬会社から発売されていますが、最近、新聞を賑わしたのが武田薬品のセルタとバイエル薬品のバイコールです。これらと日本では未発売の薬を併用すると筋肉の崩壊と腎不全から死に至らしめるということです。元々スタチン系の副作用としては知られており、医師はそれを念頭において注意深く使用していましたが、不幸にも外国での事例から今回は製薬会社自ら日本国内での発売も中止にしました。
もう少し裏事情を明かしますと、外人ですから内服している量が日本人に比べて桁違いに多かったのと、患者自らが医師の処方箋なしで薬局で買えたことが、不幸な結果を招いたようです。ですから、他の製薬会社のスタチン系は引き続き使用可能であります。一方、総コレステロール値が180mg/dl未満だと癌による死亡率が有意に上昇するというデータもあります。この解釈は大変難しく、これから議論されるところです。
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