肥満と歯│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2009年11月1日

肥満と歯

ハイライト
●糖尿病
●内臓肥満型
●アディポサイトカイン
●炎症反応
●動脈硬化
●高感度CRP

歯周病(歯槽のう漏)との関係

10年ほど前までは肥満と歯周病が関連するとは誰も考えていませんでした。それまでは、糖尿病の合併症としてとらえられてきました。近年、肥満と歯周病との関連が注目されており、その発端は日本人の研究からでした。肥満度が増すに従って歯周病が増えることが判明し、アメリカの疫学調査でも証明されました。
【想定機序】
肥満には皮下脂肪型(洋なし型、女性に多い下半身太り)と内臓脂肪型(リンゴ型、でっ腹)がありますが、とりわけ内臓脂肪型の肥満者では成熟脂肪組織から盛んに脂肪組織由来の生理活性物質(アディポサイトカイン)が分泌されています。これには多種多様な物質が含まれていますが、そのなかの多くは炎症を引き起こすものです。すなわち、肥満になるということは体の中に炎症を抱えているということになります。
これにより、血管壁に炎症が続けば動脈硬化に進展するわけです。元来、歯周病とは歯周病菌の感染によって発症する感染症ですが、これは生体にとっては軽微でも慢性炎症として存在し、ここに肥満が加わるとさらに炎症が加速して歯周組織破壊が進行していきます。栄養と免疫の関係では、飢餓や栄養不足によって生体の免疫力が低下すると感染症にかかりやすいといわれていますが、逆に糖尿病や過剰な栄養摂取に伴って炎症反応が惹起され、歯周病などの炎症性疾患の憎悪になると考えられるようになってきました。つまり、肥満は炎症なのです。
【注目すべきポイント】
身長と体重から算出するBMIが25を超えると我が国では肥満と診断されます。肥満が増えたとはいえ、日本人を含むアジア人の肥満には特徴があり、欧米人の様にBMIが30を超えるような超肥満は希です。そして、軽度肥満でも糖尿病を発症するのがアジア人の特徴です。
ということは、逆に歯周病が糖尿病を惹起、悪化させる可能性があります。歯周病による炎症で炎症性物質が発生し、インスリン抵抗性、つまり糖尿病が発症する可能性があります。事実、糖尿病の患者さんで歯周病を治すと、糖尿病が改善する例が報告されています。また、炎症反応と心筋梗塞の相関関係も報告されています。肥満によっても、あるいは歯周病によっても炎症の目安である血中の高感度CRPが上昇しますが、心筋梗塞のリスクがある方はCRPが上昇しています。さらに、頸動脈エコー検査で血管の動脈硬化を調べると、歯周病と動脈硬化に関連がみられるため、歯周病による炎症が血管の炎症をも引き起こし、動脈硬化を促進する一因と推定されています。
(上記の内容は広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授、西村英紀先生の論文から引用しました)
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