アルコールと健康│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2002年4月1日

アルコールと健康

アルコールと心臓病・高血圧

アルコールと健康
今回はアルコールと心臓病、高血圧についてご紹介します。アルコールによる循環器系への影響には害と益があります。まず害から解説しますと、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、不整脈を誘発することです。大量飲酒によって心臓の血管である冠動脈が痙攣をおこして狭心症を発症したり、飲酒と共に高カロリー食となり、肥満や塩分の摂りすぎで血圧が上昇、喫煙習慣も加わって動脈硬化を助長します。統計では虚血性心疾患での死亡率が3倍以上に増加します。飲酒と血圧の関係は、飲酒量に比例して血圧が上昇することが知られています。昇圧効果は一過性で、飲酒を中止すると数日以内に回復します。昇圧機序のメカニズムは不明のようですが、正常血圧者にはみられず、高血圧症患者のみに現われるとの報告もあり、高血圧体質の何らかの昇圧機序を修飾することが推定されます。さらに、疫学調査では脳出血の頻度が上昇するといわれており、血圧上昇に加えて止血作用のある血小板や凝固系への影響が想定されています。
不整脈に関しては、心房細動や心房粗動、上室性頻拍などの発生率が2倍以上になるとの報告や、致死率の高い心室性頻拍の発生例もあります。大量飲酒の際に注意することは、塩分の摂り過ぎや下痢、嘔吐などで、これらが低カリウム血症や低マグネシウム血症などの電解質異常を発生させて危険な不整脈につながっていきます。アルコール性心筋症は、累積飲飲酒量がある限度を超えると発症するとされ、アセトアルデヒドによる心機能抑制作用が関与して、心不全を来します。

アルコールの効益

これまではアルコールの害を解説しましたが、これからは益について紹介します。フレンチパラドックスというのを耳にしたことがあるでしょうか。いわゆる赤ワインブームのことです。フランス人は大量のバターを消費し、血清コレステロール値や血圧が比較的高いのにもかかわらず、肥満度や喫煙率でほぼ同等のアメリカなどよりも虚血性心疾患死が少ないことが謎でした。その原因は赤ワインに含まれている抗酸化物質であるポリフェノールでした。動脈硬化を促進するLDLコレステロールを抑制します。
逆に善玉コレステロールのHDLを増やしたり、血小板凝集抑制作用を高めて、血栓の予防になっています。また、近年、少量のアルコールは虚血性心疾患を抑制したり血小板凝集抑制や線溶促進作用のあることが解っており、1日1~2合程度の飲酒では心疾患を30~40%減少させるという報告があります。皆さん、適度なアルコールを楽しみながら健康増進が図れれば最高ですね。
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