アルコールと健康│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2002年3月1日

アルコールと健康

アルコールと膵臓病

アルコールと健康
今回はアルコールによる膵疾患についてお話します。膵炎には急性と慢性がありますが急性膵炎の約40%、慢性膵炎の約60%がアルコールに起因しています。症状としては大量飲酒を10年以上継続した場合、痛飲後12時間~48時間後に上腹部痛と背部痛で発症します。痛みは尋常ではなく、膵臓姿勢といってエビのように体を丸めて抱え込みます。好発年齢は40~60才と他の原因の膵炎より若年であり、しばしば再発を繰り返します。一般的には男性患者が多いのですが、女性はより短期間で発症しやすいといわれています。では、どのようにして膵炎がおこるのでしょうか。膵炎では膵の自己消化が起こっています。膵臓にはリパーゼ、アミラーゼ、トリプシンなどの消化酵素があり、食事栄養素の分解・吸収に携わっていますが、これらのホルモンが仇となるわけです。いくつかのメカニズムが提唱されており、1)Big duct theory, 2)Small duct theory, 3) Toxic metabolic theoryなどがあります。
1)は膵管が十二指腸に開口しているところのOddi括約筋がアルコールのせいで腫れたり、攣縮して膵液が膵内に停滞したり、逆に弛緩して十二指腸液や胆汁が流入して膵臓が消化されていきます。2)はアルコールによって膵液中の蛋白濃度が上昇し、protein plugを形成して膵液の鬱滞が起こり、膵管内圧が上昇して膵破壊となっていきます。3)はアルコールは膵でも代謝されるため、レドックス シフトが還元系にかたむいたり産生されたアセトアルデヒドが細胞機能を破壊したり、フリーラジカルが産生されたりと、肝障害と同じような機序です。

アルコール性膵炎の診断と予後

膵炎が起こると膵酵素のアミラーゼやリパーゼ、エラスターゼ、トリプシンなどが上昇しますが、慢性膵炎で膵の破壊が進んでいると、逸脱してくる酵素が枯渇しているため、必ずしも酵素の上昇は伴いません。診断には詳細なアルコール歴を把握することが大切です。アルコール性慢性膵炎の診断時の平均年齢は45才位です。アルコール性慢性膵炎の患者が飲酒を続けていると、禁酒した人よりも有意に短命となり、50%生存年数は診断後約12年という統計が出ており、明らかに早死にしていることになります。
死因で多いのは悪性腫瘍、糖尿病、肺炎の順です。悪性腫瘍を発生する臓器は胃、喉頭、食道、膵、肺、肝、乳、大腸、前立腺、等々多臓器にわたっています。発癌のメカニズムは、1)代謝産物アセトアルデヒドの細胞毒、2)発癌物質の細胞内透過性亢進、3)アルコール飲料に含まれる微量発癌物質、4)栄養障害、5)免疫能低下、6)フリーラジカルの発生とDNA障害、などがあります。
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