アルコールと健康│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2002年2月1日

アルコールと健康

アルコール性肝障害 (つづき)

アルコールと健康
今回も引き続きアルコール性肝障害についてお話します。1991年に旧文部省の科学研究班がアルコール性肝障害について新しい診断基準を示しました。以下に概略を紹介しますと、「アルコール性」とするには、1)常習飲酒家(日本酒にして1日平均3合以上)、または大酒家(日本酒にして1日平均5合以上、5日間以上継続)である。ただし女性の場合は上記飲酒量の2/3程度、2)禁酒によりGOT、GPT、γGTPが明らかに改善、3)肝炎ウイルスマーカーが陰性、4)禁酒により腫大していた肝臓が縮小、5)血清トランスフェリンの微小変異が陽性、6)アルコール肝細胞膜抗体が陽性、7)血清GDH、OCT活性がともに異常高値で、その比が0.6以上、などがあります。日本人のアルコール性肝障害の特徴の一つにC型肝炎ウイルス陽性者が多いことです。1989年にC型肝炎ウイルスの検出が可能になり、アルコール性肝障害と思われる人を調べたところ、約1/3が陽性であり、なかでも肝硬変や肝癌といった進行例で陽性率が高かったため、アルコール性肝障害の進行にはC型肝炎ウイルスが関与しているものと思われます。
また、興味深いのは女性の方が男性よりもアルコール性肝障害になりやすいことです。その理由は定かではありませんが、動物実験では女性ホルモンの関与が指摘されています。赤ワインについて、その飲酒量の多いフランスでは動脈硬化性疾患死が少ないことから「フレンチパラドックス」として人気がありますが、その反面やはり肝障害が多いのも事実です。やはりどんな種類のアルコールでもほどほどに。

日本人の飲酒パターン

最近の日本人の飲酒量は徐々に増えており、年平均飲酒量はビールに換算して350ml缶で370本以上に達しています。アメリカやフランスでは人口の老齢化に伴って減少傾向にあるのに、なぜ本邦では増加しているのか。その理由は、近年の女性の社会進出の増加などで女性の飲酒者が増えてきたこと、飲酒者が低年齢化していること、自動販売機で誰でも気軽にお酒を買えること、ストレス社会からの逃避で飲酒する、テレビコマーシャルでカラフルでおしゃれでジュースと区別つかないようなお酒が宣伝され、飲むことへの抵抗感が薄れているなどです。
特に、女性の飲酒者の増加は、女性のアルコール性依存症の増加にもつながっています。女性が社会に出れば出るだけ、家庭との両立や男社会でのストレスが増加し、ストレス解消で飲酒機会が増えるのです。また、未成年者の飲酒が増えていますが、これはコマーシャルや自動販売機の影響が大きいものと思われ、対策が必要でしょう。
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