重症急性呼吸器症候群 Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2004年1月1日

重症急性呼吸器症候群 Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)

ハイライト
● 変異コロナウイルス
● 空気感染はしにくい
● インフルエンザとの鑑別
● 重症呼吸器症状

SARSは日本に上陸するか?

我が国では通称“新型肺炎”の名で呼ばれていますが、平成14年11月中旬に初めて確認されました。中国広東省が起源とされ、以後中国南西部、香港、ベトナム、台湾などのアジア地域から航空機を通じてカナダなど世界に伝搬しました。WHOは今年7月5日に台湾を最後に全ての地域をSARS伝搬確認地域から解除し、SARSの流行は一旦沈静化しました。結局、世界31カ国から8450例(可能性含め)が報告され、810人の死亡が確認されました。日本では52人の疑い例と16人の可能性例が報告されましたが幸い確定例はありませんでした。そして再びSARSが流行する冬を迎えました。これまでのところ日本は「低リスク地域」ですが、中国などの「SARSコロナウイルスの起源・潜在地域」から多くの来訪者があるという観点では「発症警戒地域」となります。SARSはコロナウイルスが原因ですが、元来コロナウイルスは風邪の病因ではあっても肺炎の原因となることはなかったため、新種の変異型コロナウイルスと見なされています。伝搬様式は飛沫感染、接触感染がほとんどで、空気感染や糞便からの経口感染は否定されているため市中感染はほとんどなく、家族内感染や院内感染という濃厚な接触によるものがほとんどです。感染時期は無症状期にはなく、ほとんどが発熱などの症状を呈してからで、ウイルスの排出量が増加する発症後5日から第2週にかけてです。
感染後2~10日の潜伏期を経て38℃以上の発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感、下痢で発症し、呼吸器症状(乾性咳嗽、呼吸困難、低酸素血症状態)は発症3~7日以降に出現してきます。胸部レントゲン検査では80%以上の患者で浸潤影を認めます。致死率10%前後、高齢者では50%以上と高率です。診断には発症前10日以内のSARS患者との接触やSARS伝搬地域への渡航歴が重要で、確定診断には遺伝子増幅法(PCR)でコロナウイルス抗原を拾い上げることですが、初期は偽陰性の場合も少なくないため、発症10日後に再検査することになっています。そんなさなか、1時間半位で診断できる迅速診断キットが日本で開発されました。治療に関しては今のところ確実な方法はなく、呼吸不全に対する適切な酸素療法、呼吸管理のみです。予防法も確立されておらず、伝搬地域への渡航自粛やSARS患者と接触しない、手洗いとうがいの励行ですが、家庭用洗剤に抗ウイルス効果のあることが報告され、消毒用として有効に利用できる可能性があります。もし、SARSを疑わせるような状況や症状があった時は、感染の拡大を阻止するためにも、病院に行かずにまず医療機関や保健所に電話で相談して下さい。

インフルエンザとSARSの鑑別、予防、対応

インフルエンザ、SARSは共に冬季に流行する高熱を主徴とする疾患であるため、時に診断に苦慮する事態が想定されます。予防医学の点からは流行地域への渡航を避けること、医療関係者を筆頭にインフルエンザワクチン接種を受けることが推奨されます。また、飛沫感染を防ぐために医療関係者、疑い患者、家族はマスク着用を徹底することですが、市販のマスクではウイルス侵入を確実には防げないため、医療機関で使う外科用マスクが有効です。
インフルエンザの診断は今や一般の医療機関で可能となり、抗インフルエンザ薬の内服薬もあるため、インフルエンザの診断と治療は問題ないとしても、インフルエンザが否定されてSARSの疑いが残っている場合には各都道府県の保健所などを介して決められた受け入れ態勢の整った医療機関に転送、隔離する必要があります。

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