ライフスタイルと疾患(総論)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2005年7月1日

ライフスタイルと疾患(総論)

ハイライト
● ライフスタイル
● 第一次予防
● 集団から個へ
● 大病院
● 実地医家
● プライマリーケアー
● 産業医
● 健康スポーツ医

臨床医学と予防医学

日本人の死亡三大死因は癌、心臓病、脳卒中ですが、その成因の60%はライフスタイルであり、環境因子が20%、遺伝が20%と報告されています。米国の有名な追跡調査では、①適正な睡眠、②禁煙、③適正体重、④適正な飲酒、⑤運動、⑥正しい朝食、⑦無間食、の7つの健康習慣を守っている80才代の高齢者の健康度は、全く守っていない30才代の若者のそれと同じと結論されており、いかにライフスタイルが健康に影響を及ぼしているかが伺えます。近年、疾病の悪化予防や社会復帰を中心とした第三次予防や、早期発見と早期治療を中心とした第二次予防よりも原因除去を基本とする第一次予防がより効果的で、より経済的であると認識されてきました。さらに、これまでの集団を対象とし、その平均で物事を考える予防医学は、長寿命、高齢化を迎えた我が国では、個々に合ったライフスタイル改善など、「集団から個」へと移り変わりつつあります。通常、お腹が痛い、咳がでる、などの症状が出てから病院に来て医療行為を受けるわけですが、医師はそこでいわゆる「臨床医学」を患者さんに提供して治療します。
「予防医学」というのは、無症状のうちに疾患の予防をするための医学で、健康診断で高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満などが判明すれば、これら生活習慣病から将来の心筋梗塞や脳血管障害などの動脈硬化性疾患を予防するための指導をしたり、腹痛で来た患者さんが胃潰瘍であったら、胃潰瘍になってしまったライフスタイルを聞き出し、その改善を指導して再発させないようにする医学です。最近、患者さんは大病院指向にあり、遠方からはるばる来院して外来はごった返していますが、確かに各疾患の専門医がいて、消化器のなかでも胃の専門、大腸の専門と細分化され、高度先進医療が受けられるという安心感がありますが、多くの外来が3時間待ちの3分診療で、疾患そのものは診ても、その原因の一つであるライフスタイルなどの患者背景に関しては、忙しい、あるいは予防医学の教育を充分受けていないなどの理由で、そこまで言及出来ないのが現状だと思われます。そのような場合には、医師以外のコメディカルや栄養士、カウンセラーなどが別個に時間を設定して、ライフスタイルや環境改善の窓口になるのも一案です。そこで、我々のように地域で開業している実地医家は、それぞれの専門性を維持しながら家庭医としてあらゆる疾患の予防医学、プライマリケアーを行っていくうえで重要な役割を担っていると思われますし、そういった医療を提供出来るように生涯教育として研修を続けていく責務があり、現にいろいろな生涯教育プログラムが実施されています。 

ライフスタイルの改善で健康増進

疾病予防の目的で患者さんにそれまでのライフスタイルを変えさせるのは現実問題としてなかなか困難です。元々無症状であるが故に、特に生活習慣病に関しては、飲むな、吸うな、食べるな、と言っても職場環境や取引先などとの関係から、個人では改善出来ない点が多々あるのが現状です。そこで、これからは医療現場のみならず企業自ら、会社理念や上司の認識として、企業の発展には社員の健康が欠かせないという考えを持ち、社員の健康に関しては個人任せではなく、組織として対応する体制を整えていくのも、予防医学を確立し、ひいては医療費削減の面でも重要と思われます。ライフスタイルが関与する疾患に関して各企業が医師や看護師を招いて講演会などを定期的に開催し、社員の意識改革を促すのも一案です。職業病や過労死、うつによる自殺などが社会問題となり、50人以上の従業員がいる事業所には必ず産業医がいます。また健康スポーツ医認定など予防医学の環境は整いつつあります。
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