サプリメント(日本肝臓学会報告)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2005年6月1日

サプリメント(日本肝臓学会報告)

ハイライト
● 高齢女性
● 慢性疾患
● 肝細胞障害型
● 胆汁うっ滞型
● 急性肝炎型
● 劇症肝炎
● 血漿交換
● DLST

薬剤性肝障害

記憶に新しいところで、中国産のやせ薬ないしは食品による重症肝障害が報告、報道されたのを契機に、民間薬による肝障害の報告が増えています。昨年の日本肝臓学会大会で取り上げられた民間薬や健康食品による肝障害についての報告を学会誌「肝臓」から紹介します。日本肝臓学会の薬剤性肝障害の診断基準に従い、14施設から89症例が集まり、1994年から2003年に発生した例です。
<患者背景>
年齢は17才から80才で、60才代にピークがあり、男性32例、女性57例と女性に多かった。飲酒歴のない症例81%、アレルギー歴のない症例91%、薬剤性肝障害歴のない症例92%、基礎疾患があるのは71症例(80%)で、その内訳は肝疾患27例、糖尿病などの内分泌・代謝疾患10例、悪性腫瘍9例、循環器疾患7例、消化器疾患5例、神経疾患4例、膠原病4例、血液疾患、腎疾患、呼吸器疾患は各1例、泌尿器科疾患2例でした。 
<起因薬物>
71種類と多くの起因薬物があげられ、ウコン29件(25%)、アガリクス9件(7%)、その他プロポリス、青汁、ロイヤルゼリー、プロテイン、杜仲茶、カバノアナタケ、霊芝、金鵄丸などです。使用目的の第一位は健康増進のため、次いで基礎疾患の治療のためで、承認医薬品との併用率は60%でした。
<臨床像>
肝細胞障害型といって一般的なGOT、GPTが上昇するタイプが75%、胆汁うっ滞型といってγGTPやALPの上昇が目立つ、通常の薬剤性肝障害に多いタイプが  15%、両者の混合型が10%でした。急性肝炎で発症したのが70例(78%)、劇症肝炎で発症したのは3例(起因薬物は梅エキス・アシタバ・ライフパック・ビューティーシェイプの例、ガルシニアの例、カバノアナタケの例)、重症肝炎は2例(アガリクス・レイシの例、ウコンの例)でした。発症までの健康食品使用期間は3日から1800日にわたり、おおよそ半数は 60日以内です。初発症状の最多は黄疸で、その他に倦怠感、食欲不振、消化器症状、掻痒感などです。
<診断方法>
通常は患者さんのリンパ球と疑わしい薬剤を試験管の中で混ぜ合わせて、リンパ球の幼弱化やりんぱ球数の上昇の有無を調べたり(DLST)、服薬時期と肝障害発症時期の検討、服用中止後の経過などで診断します。また、他の原因がなく、除外診断として薬剤性肝障害と診断されることもあります。
<治療と予後>
肝障害発症後、服薬中止のみで経過をみられたのが56例(63%)、ステロイドや肝庇護剤の内服や注射、血漿交換などが施行され、生体肝移植も1例ありました。予後は比較的良好であるが、死亡例が3例で、ウコン、カバノアナタケ、アガリクスでした。

考察

我が国の健康保険で承認されていない医薬品や漢方薬、健康食品による肝障害は1991年から報告されていました。糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の増加に伴う健康ブームによって様々な健康食品ややせ薬が市場に出回っていますが、一般にそれらの健康食品などは薬ではないので安全と思われていましたが、その安全神話は崩れ去りました。今回の症例の解析から、中国製やせ薬以外の民間薬と健康食品による肝障害の特徴をまとめます。
1)高齢女性に多い
2)基礎疾患と慢性疾患が多く、すでに医薬品を服用していることが多い
3)民間薬は発症までに長期間使用されていた
4)DLSTの陽性率が高かった6)肝障害のパターンは薬剤性肝障害で多くみられる胆汁うっ滞型ではなく、肝細胞障害型が多かった。
気になるのは、発症までの期間が長いため、短期間使用で安全であっても油断出来ないことです。また、製品管理レベルもまちまちなのが現状であり、未知の混入物もあるはずです。
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