食生活と消化器癌│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2006年6月1日

食生活と消化器癌

ハイライト
●食塩
●ヘリコバクターピロリ菌
●野菜・果物
●緑茶
●飲酒、喫煙
●過食、肥満
●高血糖

食事因子が胃癌に与える影響

食生活が消化器癌の発症に与える影響について、消化器癌のなかで最も多い胃癌について、消化器病学会誌に掲載された論文を紹介します。20世紀後半に入って胃癌の罹患率、死亡率はともに全世界的には減少傾向にあり、我が国でも同様です。しかし、我が国では胃癌の罹患率は肺癌、乳癌、大腸癌に次いで4番目であり、死亡率では肺癌に続いで2番目です。胃癌の発生には遺伝因子が関与していますが、さらに国際的には胃癌の罹患率に大きな地域差があることや、米国に移民した日系人の胃癌罹患率が日本在住の日本人より低いことなどから、環境因子が重要であると考えられており、なかでも食生活(食事因子)が最も影響をしていることが推定されています。
食塩;
1959年に初めて高食塩摂取と胃癌の関連が報告され、この問題が注目を集めるようになりました。その後、世界やわが国での研究で、やはり高食塩食と胃癌死亡率に関係があるという知見が得られています。わが国においては日に食塩10g以上の摂取が有意な危険因子であることが報告されています。他方で、食塩の多い漬物や味噌汁、ハム、ベーコン、ソーセージなどとの因果関係はなかったとする報告もあります。今のところ、高食塩が胃癌を発生させる機序は確立されていませんが、動物実験では食塩の負荷で発癌物質による胃発癌は促進されるものの、食塩単独負荷で胃癌が発生することは認められないことから、食塩自体には発癌性はないと考えらます。高い塩分濃度は胃粘膜を保護する粘液層を破壊して胃液による粘膜細胞の傷害を助長し、炎症を惹起することで他の発癌物質の影響を増強する可能性が指摘されています。一方、ヘリコバクターピロリ菌の感染はWHOにおいて胃癌発生の危険因子と認定されており、高食塩食とともに胃発癌の促進因子であることは間違いありません。ただ、お互いの係わり合いや相乗効果に関しては不明です。わが国のある地域での研究では、高食塩食が胃癌に与える影響は、ピロリ菌による萎縮性胃炎が存在する場合でした。わが国の50歳以上におけるピロリ菌の陽性率は70%以上であり、ピロリ菌を持っている人のごく一部のみが胃癌を発症することから、ピロリ菌感染に何らかの因子が加わって胃癌のリスクが上昇、その因子の一つに食塩が推定されます。
野菜・果物;
野菜や果物の摂取が胃発癌を抑制することは一貫して示されています。広島や長崎の被爆者集団や他の地域においても野菜や果物を毎日摂取すると、週に1回以下の摂取に比べて有意に発癌は抑制されています。その機序はというとビタミンC、ビタミンE、ベータカロチンなどによる抗酸化作用が推定されていますが、効果なしという報告もあり、今後の研究が待たれます。
緑茶;
日本や中国で行われた研究では、当初は胃癌のリスクを低下させると報告されましたが、追跡研究では明らかな関連は認めませんでした。緑茶にはカテキンなどの抗酸化物質が含まれており、動物実験では抗発癌作用が示されているため、今後の研究が待たれます。
飲酒;
アルコールそのものは胃癌発症の要因としては考えにくく、喫煙などとの相乗効果による発癌が指摘されています。
過食・肥満;
摂取カロリーの過剰や運動不足の結果として発症する糖尿病や肥満が胃癌発症のリスクを上昇させるという報告があります。特に空腹時高血糖にピロリ菌陽性が加わるとリスクが上昇します。肥満だと腹腔内圧が上昇し、逆流性食道炎のリスクが上昇すると胃の上方の発癌リスクが上がることが推定されています。
予防策;
WHOは食生活の改善で癌を1/3に減らせると予測しています。塩分6g以下、毎日野菜を食べて太らないことです。
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