下部尿路障害│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2006年5月1日

下部尿路障害

ハイライト
●頻尿
●尿勢低下
●残尿感
●尿意切迫
●糖尿病
●膀胱痛
●過活動膀胱
●間質性膀胱炎

膀胱、尿道

泌尿器科における上部尿路とは腎臓と尿管、下部尿路とは膀胱、尿道および男性の前立腺のことをさします。今回は下部尿路に関して日本赤十字社医療センター泌尿器科の本間之夫先生の論説を紹介します(診療研究、東京保険医協会、417号、2006)。下部尿路の機能は尿の貯留と排泄であり、より具体的には「膀胱の弛緩と尿道の閉鎖(蓄尿)」と「膀胱の収縮と尿道の開放(放尿)」のことです。共に膀胱と尿道の協調作用が必要です。今までは、例えば「尿の勢いがない」や「尿が我慢できない」はまとめて「排尿障害」と呼ばれていましたが、実際にはそれぞれ「排尿症状」、「蓄尿症状」というものでした。今後は「排尿」に関する問題はまとめて「下部尿路障害」と呼称されていくでしょう。下部尿路障害に関して我が国の大規模な疫学調査が2003年に発表されました。40才以上の男女4570人の結果です。最多は夜間頻尿で、1回以上が69%、3回以上が13%、次いで昼間頻尿で、8回以上が50%、11回以上が11%、次いで尿勢低下、残尿感、尿意切迫、失禁、膀胱痛の順です。男女比は、失禁は女性優位、その他は全て男性優位でした。日常生活に影響を及ぼす症状としては、夜間頻尿、昼間頻尿、腹圧性失禁、尿意切迫、尿勢低下の順でした。ただし、生活に影響があると感じているのに医療機関を受診しているヒトは18%に過ぎず、特に女性が低率です。
<過活動膀胱>
過活動膀胱とは新しい概念で、「尿意切迫を主症状とし、頻尿や、場合によっては尿失禁を伴う。ただし、明らかな癌や炎症は除外」というものです。疫学調査では男性優位で、加齢に伴って上昇し、80才以上では37%でした。過活動膀胱のヒトの53%が日常生活において何らかの影響を感じており、特に睡眠や活力への影響でした。治療自体はそれほど困難ではありませんが、病院への受診率は23%程度と、潜在的な患者さんは多数存在するものと思われます。
<間質性膀胱炎>
間質性膀胱炎とは、頻尿、尿意亢進(少し尿が貯まっただけで尿意を感じること)、膀胱痛を主症状とする膀胱の非特異的炎症性慢性疾患で、いわゆる一般の細菌性膀胱炎と区別されるものです。重症例では一日の頻尿回数が60回にも及びます。原因は不明であり、我が国の疫学調査では男性優位ですが、欧米では女性優位です。尿検査や身体所見に特徴的なものはなく、診断は容易ではありません。性病、子宮内膜症、結核、神経症、膀胱癌、放射線膀胱炎などとの鑑別を要します。膀胱鏡を用い、水圧による膀胱拡張に伴った粘膜の断列や出血を確認することです。治療に標準的なものはなく、抗うつ剤や消炎鎮痛剤になります。

高齢者の失禁、オムツの問題

2001年の調査によりますと、60才以上の高齢者の400万人に尿失禁があり、200万人がオムツを使用しています。加齢と共に尿失禁は増え、60才では40%、80才では60%のヒトにみられます。また、脳出血後遺症や前立腺疾患の既往歴があると増加し、歩行可能なヒトの24%、寝たきりのヒトの94%にみられ、さらに、認知症の程度が強いほど失禁は増加します。高齢者の失禁は切迫性のものが多く、男性は前立腺肥大症に伴う溢流性失禁、女性は腹圧性尿失禁です。失禁で実際に泌尿器科を受診するのは5%以下です。自宅療養の時間が増え、トイレへの移動に手間取るようになると、家人は介護に楽なオムツをつけさせます。最近のオムツは品質改良で性能が良くなったせいで、失禁しても不快感が生じにくく、これは本人も楽と感じ、益々トイレでする習慣が遠のき、我慢することがなくなり、尿道括約筋が緩み、益々失禁しやすくなります。トイレへの誘導やポータブルトイレで失禁を予防していきます。
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