夏のインフルエンザ│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2006年8月1日

夏のインフルエンザ

ハイライト
●ウイルス因子
●ヒト(宿主)
●閉鎖環境

2005年沖縄県の事例より

先月ニュースや新聞でお耳に入った方もいらっしゃると思いますが、沖縄県で季節はずれのインフルエンザが流行して7月には学級閉鎖になったことが報道されました。我々医療関係者にとっても驚くような報道でした。さらに、医学関係の雑誌では岩手県や北海道でもインフルエンザの発生が報告されていました。通常、インフルエンザの流行には季節的な特徴がみられ、北半球では11月から3月、南半球では5月から9月の冬の時期に流行することが広く知られています。我が国でも年末12月頃から患者数が増加し始め、正月休みの期間には一旦減少するものの、学校の新学期とともに再び増加に転じます。しかしながら、冬季以外でも散発的なインフルエンザ発生の報告は我が国でみられますが、夏にインフルエンザが流行しうることは専門家以外にはあまり知られていません。夏の時期のインフルエンザ集団発生の報告には、アラスカの観光クルーズ船での事例、オーストラリアの刑務所での事例などがあり、閉鎖環境にヒトが密集した特殊な要因が関与しているものがほとんどです。そこで今回は、沖縄県で昨年6月にインフルエンザが流行し、その背景因子などを検証した報告を紹介します。沖縄県では冬のインフルエンザは南の離島地区から始まって順次北上して行きましたが、夏のインフルエンザは沖縄本島で発生して南下していきました。ウイルスのタイプは冬はA香港型とB型の混合、夏はA香港型がほとんどでした。感染者は幼児と若年成人が中心でした。インフルエンザの流行にはウイルス、ヒト、環境の三つの要因が関与しています。
<ウイルス>
一般に我が国のような温帯地域では気温の低い大気の乾燥した冬がインフルエンザウイルスにとっては感染、増殖に好都合ですが、逆にこの低温と乾燥がインフルエンザ流行に絶対に必要な条件かといわれると、必ずしもそうではないようで、高温多湿の熱帯地方でもインフルエンザの感染・流行は観察され、しかも一年を通して患者発生がみられています。さらに、熱帯地方では雨季の高温多湿の気象状況下で流行が拡大し、乾期になると終息するという季節性も観察されています。インフルエンザ流行に低温、低湿度が必須条件というわけではなく、高温・多湿環境で活動性を失うということでもないようです。
<ヒト(宿主)>
ヒトからヒトへの伝搬を考えると、たった1人の感染者でも周囲に感染可能なヒト、つまりインフルエンザ抗体を保有していないヒトが多数いれば流行に繋がっていきます。昨年の沖縄県での患者年齢をみると、ワクチン摂取率の低い0~9歳児が最も多く、次いで20~40代の青壮年層に患者が集中していたことから、 結局のところ、インフルエンザの流行はヒト集団の免疫状態に大きく左右されるということになります。
<環境>
気象環境でいうと、北半球も南半球も低温、乾燥との関係が強調されていますが、熱帯、亜熱帯地方ではインフルエンザ感染は一年を通じて観察されています。シンガポールではインフルエンザの流行と気温、湿度との間には有意な因果関係は認められないと報告しており、むしろ雨季に流行し、乾期に終息するという報告があります。昨年の沖縄県の気象状況は例年よりも降水量が多く、日照時間は平年をかなり下回っていました。これは熱帯地方のインフルエンザ流行期、雨季の高温多湿に酷似していました。雨が多いと屋外に出ることを控え、結果的に屋内での活動が増え、閉鎖空間にヒトが密集し、ウイルスのヒト-ヒト伝搬に有利な条件が揃うわけです。
<まとめ>
季節はずれのインフルエンザの流行はいくつかの要因が重なっています。今後も季節に関係なくその発生が起こりうるものと思われます。
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