高齢者の疾患の特徴-⑤-│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2007年3月1日

高齢者の疾患の特徴-⑤-

ハイライト
●大腿骨頸部骨折
●転倒
●骨粗鬆症
●ADL
●西洋的生活

運動器疾患、その他

今回も、高齢者の疾患の特徴について概説します。
<運動器疾患>
骨折;大腿骨頸部骨折は8割が転倒によるもので、女性3に対して男性1と女性に多くみられます。転倒する場所は居室33%、道路29%、駅・空港7%、階段6%で、廊下、庭、デパート・マーケットの順です。日本人は欧米人よりカルシウム摂取量が少ないのに骨折の頻度は1/2~1/3と少なく、その理由に日本的なライフスタイル、つまり魚をよく食べる、布団の上で寝る、日本茶を飲む、運動するなどが明らかとなっています。逆に、骨折を起こしやすいリスクファクターはADL(activity of daily life;日常生活活動)の悪い人、脳卒中の人、麻痺の既往がある人、糖尿病の既往がある人、日光浴をしない人、ベッドで寝たりスリッパを履くなどの西洋的な生活様式、不眠傾向にある人、年に2回以上転倒する人などで、ここ10年で骨折する人は約2倍に増加しています。転倒の発生頻度自体が日本人の10~20%に比べて欧米人では30~40%と多いのは、足の長さや背の高さも転びやすさにつながっていると思われます。トイレの違いも重要で、和式トイレでしゃがむ動作によって常に腰の筋肉を強化しており、床の上げ下ろしも含めて重心の上下動が知らず知らずのうちに足腰の筋肉を鍛えて転びにくくしています。在宅高齢者では転倒した人の約10%に骨折が発生しています。骨折の要因には転倒、骨粗鬆症、ADLの悪さが挙げられますが、なかでも横に転倒するのが一番骨折しやすく、骨折予防するためには高骨密度、転倒予防、ヒッププロテクターのうち、転倒予防が最重要です。転倒の原因は、つまずいた、滑った、めまいがした、足がふらついたが多く、基礎疾患が原因であることがしばしばで、変形性関節症、パーキンソン病、糖尿病性末梢神経障害、認知症などでのつまずき、脳血管障害や起立性低血圧でのめまいなどです。睡眠剤や精神安定剤が効き過ぎた場合や降圧剤による低血圧もふらつきの誘因です。最近、東京都老人医療センターや東京厚生年金病院などに転倒予防クリニックが開設されており、一度転倒したことがある人が受診し、転倒した原因を調べて転倒予防の運動指導をしています。
<その他>
(1)インフルエンザ;
①概論;1919年にスペイン風邪が世界的に大流行し、我が国でも38万人が死亡しました。1962年から学校でワクチンの集団接種が行われましたが効果に疑問が出たため、1987年に任意接種となりました。その結果、接種率が低下して高齢者が肺炎で死亡したり老人施設や精神病院での集団感染が社会問題となったため、平成13年度から65才以上の高齢者を対象にインフルエンザワクチンの接種奨励のための予防接種法が改正されました。インフルエンザウイルスは核蛋白質の抗原性の違いからA、B、Cの3型に分類されます。猛威をふるって症状が重いのがA型です。ヒト以外にもトリ、ブタなどに感染し、ウイルス表面の赤血球凝集素とノイラミニダーゼという糖蛋白が変異して抗原性を変えるため、抗体のない人類に感染して大流行となります。インフルエンザウイルスは南半球から渡り鳥によって運搬されると考えられています。
②ワクチンの有効性;風邪の罹患率が有意に抑制され、死亡率や病院通院日数も減少して経済効果もでています。インフルエンザワクチン株の選定は WHOワクチン選定会議での討議内容と国内インフルエンザ流行状況、分離ウイルス抗原解析、遺伝子解析、免疫誘導能、鶏卵での増殖性などが国立感染症研究所で討議されて来シーズンの予測をたてて、厚生労働省に報告されます。ワクチンの1回接種によってインフルエンザの発病はおおよそ50%抑制され、死亡率は80%軽減します。今、トリからヒトへ感染する新型インフルエンザで約64万人の国民が死亡すると推定されており、ワクチンの開発中です。
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