ヘリコバクターピロリ菌│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2007年4月1日

ヘリコバクターピロリ菌

ハイライト
●経口感染
●家族内感染
●胃外病変
●耐性菌

現状と展望

1982年にオーストラリアのワーレンとマーシャル両博士が発見し、自らの身体を使ってヘリコバクターピロリ菌(HP) 感染を実証し、胃潰瘍、十二指腸潰瘍胃の“犯人”であることが証明されました。その後、日本人の多くの研究論文も多大に貢献したかたちで、2005年にはノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
<感染様式>
確実な感染経路は特定されてはいませんが、成人の再感染は希なことから、胃酸の分泌や胃粘膜の免疫能が不十分な幼小児期、特に1~2才の時に感染すると考えられています。ほとんどがヒトからヒトへの経口感染と考えられており、生後4~8ヶ月の離乳食の開始時期に保護者、特にHP保菌の母親から乳児への口-口感染です。また、母乳の影響については、感染源になりうるという報告と、母乳中のラクトフェリンなどが感染防御になるという報告があり、一定の見解は得られていません。では、元々はどこに棲息しているのか?環境中のHPを検出する努力がなされてきましたが、培養法では検出することが出来ず、遺伝子の検出では井戸水に証明されています。その他、ゴキブリやハエなどによる媒介は否定的です。感染経路の80%は家族内感染ですが(70%は母子感染、10%は父子感染)、20%の家族外感染は、主に施設内感染が示唆されており、保育園に通園歴がある子は幼稚園より有意に感染率が高いことが報告されていますが、これは子供同士の接触機会、排尿・排便含め、子供達 が長時間共に生活することにより、感染の機会が増えることが示唆されています。さらに、障害児・障害者施設でも高い感染率が報告されています。
<感染診断>
日本、韓国、中国に感染者が多く、我が国の50才以上のヒトの7割以上に感染が認められています。感染しているヒト全てが胃潰瘍や十二指腸潰瘍を持っているわけではないので自覚症状の有無からは診断することは出来ません。診断方法には胃粘膜組織を利用する迅速ウレアーゼ試験、検鏡法、培養法、利用しない尿素呼気試験、抗HP抗体検査、便中HP抗原測定があり、どの方法でも構いません。胃カメラを飲まなければならないとか、胃薬の影響を受けるとかがありますので、専門医と相談する必要があります。
<HP感染と胃疾患>
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、一部の胃癌、一部の胃悪性リンパ腫、過形成性ポリープ、機能性胃腸症があります。
<HP感染と胃外病変>
1993年にHP感染と胃外病変の概念が提唱されはじめ、関連性が強く、除菌治療の有効性が報告されているのが、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、慢性蕁麻疹、若年者鉄欠乏性貧血、片頭痛で、特にITPでは除菌療法の有効率が約50%にも及びます。
<HP除菌療法の現況と問題点>
2000年にHP除菌療法が保険適応になりましたが、現在保険適応が認められている疾患は胃潰瘍、十二指腸潰瘍のみです。レジメはプロトンポンプ阻害剤(制酸剤)、アモキシシリン(抗生剤)、クラリスロマイシン(抗生剤)の三剤併用、7日間の内服です。除菌成功率は近年低下傾向にあり、以前の85%以上から70%前後になっています。これは、クラリスロマイシンに対する耐性菌出現のせいで、特に九州・沖縄で高率になっています。この場合には再除菌としてメトロニダゾールを使用すると成功率90%前後になりますが、現在のところ保険適応外です。
<HP除菌療法後の長期予後>
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発率に関しては、除菌前は年30%前後でしたが、除菌後は2%前後にまで低下しました。保険外ですが低悪性度胃悪性リンパ腫では65%が完全寛解します。胃癌は萎縮性胃炎、腸上皮化生を背景にして発生しますが、除菌でこれらが改善し、癌新生を抑制します。
<今後>
50才以下の感染率は低いため、いずれ先進国並となり、逆流性食道炎、バレット食道腺癌、胃底腺ポリープは増加します。
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