ー臨床検査ミニ知識ー│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2010年3月1日

ー臨床検査ミニ知識ー

健康診断や人間ドックなどでの検査で必ず行われるのが採血検査です。貧血の有無や肝機能、腎機能、糖尿病、脂質系などが1回の採血で測定出来ます。このうち、血球成分といって骨髄で生成される赤血球、白血球、血小板について検査するのが「末梢血液一般検査」と呼ばれています。では、赤血球、白血球、血小板はどういう働きをしているのか、概説します。 
(参考;こまど,№6,2008,こまど社より)
 

赤血球の働き

赤血球中の成分であるヘモグロビンの鉄が酸素と結合することによって全身に酸素を運搬し、かわりに各組織で発生した不要な二酸化炭素を受け取って肺まで運んで息として排出します。赤血球の数が減少すると貧血となり、酸素の運搬能力が低下します。また、赤血球の数が正常であっても、その中にヘモグロビンが十分に含まれていないと、酸素運搬能力が低下します。貧血の有無は赤血球数、血色素、ヘマトクリットで表します。貧血の原因で一番多いのは鉄欠乏性貧血で、赤血球の形が小さくなります。無理なダイエットや消化管出血、慢性炎症などに起因します。その他に、胃切除後のビタミンB12欠乏や葉酸不足でも貧血になりますが、この場合は赤血球の形が大型になります。空気の薄い、いわゆる慢性的に低酸素状態にあるアンデス山脈のような高地に住んでいる人達の体内では、体の隅々まで酸素を行き渡らせるために、代償的に赤血球の数が増加しています。しかしながら、赤血球数が増えすぎると血液の流れが悪くなり、血管が詰まる原因にもなります。多血症という病気では瀉血(献血のように血液をぬく)ことで対処します。

高値;脱水、多血症
低値;貧血、白血病、悪性腫瘍、妊娠、生理         
骨髄異形成症候群、再生不良性貧血
粟粒結核、腎不全、抗ガン剤

白血球の働き

白血球は、その働きによって好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球に分類されます。細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入した場合に体を守る働き(防御反応)と、細菌やウイルス、ガン細胞などに対する抗体を作って対抗する働き(免疫反応)とがあります。怪我などの炎症反応がある時や気管支炎、肺炎、腎盂腎炎などの感染症にかかっている場合は白血球数が増加し、逆にエイズなどの免疫力が低下している時は白血球数が減少します。体を外敵から守る一方で、自分の体内の、ある臓器を誤って異物として認識してしまい、破壊活動をする場合があります。自己免疫病といわれるリウマチなどの膠原病や自己免疫性肝炎などです。臓器移植をすると拒絶反応といって、移植された臓器を異物と認識して白血球のうちのリンパ球によって攻撃されてしまいます。

高値;怪我、急性感染症、心筋梗塞、出血、
    白血病、タバコ、ステロイド  
低値;敗血症、再生不良性貧血、悪性腫瘍、
    薬剤性、放射線性、抗癌剤、膠原病、
    骨髄異形成症候群、肝硬変、粟粒結核

血小板の働き

血小板の役割は止血作用です。怪我などで血管が損傷すると血管壁にくっついて凝集し、大きな塊を作って出血を止めます。血小板が減少すると出血しやすくなったり、血が止まりにくくなります。反対に、血小板が多すぎると血栓が出来やすくなります。
血小板は生体にとって重要な働きをしますが、時には脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなりうるのです。

高値;慢性骨髄性白血病、鉄欠乏性貧血、出血
感染症、悪性腫瘍、原因不明
低値;再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、
急性白血病、薬剤性、放射線性、紫斑病
膠原病、肝硬変、粟粒結核

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