中高年女性の健康管理│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2004年3月1日

中高年女性の健康管理

ハイライト
● 骨粗鬆症

● エストロゲン

● HRT (Hormone Replacement Therapy)

● 骨代謝回転

● ビタミンK

● 尿失禁

● ドライスキン

中高年女性に多い疾患

女性は卵巣機能が停止する閉経を境に身体的、精神的に大きく変化します。我が国の女性の閉経年齢は平均51.5才となっており、女性ホルモンであるエストロゲンの減少に直結した諸症状が現れ、更年期障害と呼ばれます。代表的なのが骨粗鬆症ですが、その他に生命予後には影響しないものの不快な不定愁訴を訴えたり、うつ状態を呈します。この年代は生活習慣病である高脂血症、糖尿病、高血圧も発症しやすいため多方面からのケアーを要します。
(1)骨粗鬆症とホルモン補充療法(HRT);閉経後に女性ホルモンの低下で骨粗鬆症が発症することが1941年に初めて報告されました。エストロゲンは骨吸収(破壊)を抑制したり腸管からのカルシウム吸収を促進して骨量を保っています。女性は20~45才位が骨量のピークですが、元々は男性よりも低く推移し、その後閉経前でも45才位から骨量は減少しはじめ閉経後に急激に悪化します(骨代謝回転の亢進、つまり破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を上回る)。特に閉経後2~3年は破壊が強く、最終的には骨密度は若年成人平均の1/3程にまで低下します。骨粗鬆症の診断は骨折の有無や腰椎などのレントゲン検査のみで行っていた時代から、骨量(骨密度)や骨代謝マーカーを簡単に測定して評価する時代へと変遷して来ました。HRTは1970年代に欧米で定着し、現在の施行率は20~30%です。我が国では1990年代に普及しだしましたが、施行率は1~2%です。なぜ日本では普及しないのか?それにはいくつかの理由があります。我が国で保険適用されているエストロゲン製剤であるエストリオールは欧米などで使用されている結合型エストロゲンに比べて骨量を増加させる効果が弱く、骨折抑制に有効であるというデータがありません。副作用の点でも単独投与だと子宮体癌や乳癌の発生、乳房痛、乳腺症や性器出血を来したり肺塞栓症、血栓性静脈炎の引き金になるなどがあります。もう一つの女性ホルモンであるプロゲスチン製剤を併用したり、投与量を加減したり、基礎疾患を的確に把握するなどで善処しながらの治療になります。興味ある報告がありますが、日本における骨折の分布が納豆の消費量と一致するらしく、納豆をたくさん食べる東京の人は骨量が多いとのことです。これは納豆に含まれているビタミンKが骨にカルシウムを蓄積する作用があるのと、大豆には植物性エストロゲンがあるためです。
(2)尿失禁;出産によって恥骨直腸筋や会陰筋が伸ばされ、重い物を持ったり子供を抱き上げるなどで腹圧がかかって骨盤底筋群に負担が増えたり加齢による尿道抵抗の低下、膀胱活動の亢進などによります。尿道抵抗を高めるには手術の他に尿道にある平滑筋をサポートする薬物療法があり、抗うつ剤も有効です。膀胱活動を抑制するにはカルシウム拮抗剤のような膀胱平滑筋を弛緩させる薬物を使用しますが、口渇感や残尿感などの副作用で継続出来ないことがあります。膀胱内注入療法といって唐辛子の辛みの成分であるカプサイシンをエタノールで溶解して注入しますが、これは膀胱の知覚神経を麻痺させて勝手な膀胱収縮を起こす神経回路を遮断します。電気刺激で反射回路を抑制する方法もあります。
(3)ドライスキン;乾燥肌は表皮最外層にある角層中の水分保持能力(保湿能)の低下によりますが、保湿能は皮脂腺から分泌される皮脂量に依存し、これは男性ホルモンに依存しています。そのため女性は40才代から皮脂量が減少して男性よりも乾燥肌になりやすいのです。
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