国民病│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2001年6月1日

国民病

慢性肝炎・肝硬変

国民病
まだ皆さんの記憶に新しい事と思いますが、ある製薬会社(今はその名は消滅)の非加熱製剤でエイズウイルスが血友病患者さんに感染し、当時の厚生省やその道の権威の先生方が非難され、罪を問われました。その時はエイズウイルスのみが取りざたされましたが、実はC型肝炎ウイルスの感染も起こっていたのです。もともと日本人には国民病ともいわれる慢性の肝疾患が多く、代表的なものとしてB型肝炎や自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性などがありましたが、診断困難な慢性肝疾患が多数あり、我々はNonBNonC型肝炎と診断していました。ところが、世界中の肝臓病学者がやっきになって未知のウイルス探しを競った結果、1989年にC型肝炎ウイルスが発見されました。これを機に、アルコール性といわれていた人と原因不明の肝炎の多くがC型肝炎と診断され、さらにその感染経路の一つが輸血であることが判明してからが大変でした。
以後、献血や企業検診にC型肝炎の診断法が加わり、新たなC型肝炎の感染が激減したのは朗報でしたが、一方ではすでに感染してしまった人達に肝癌が発生し、日本人の死因のトップになってしまいました。日本肝臓学会では、肝癌の発生抑制のためには専門医で肝機能の厳重な管理の必要性を唱え、インターフェロンなどで肝機能を低くコントロールすることを提唱しています。しかしながら、不幸にも日本人のC型肝炎ウイルスは多くがインターフェロン耐性であり、これを打破するために日夜研究が進められています。

インターフェロン

C型肝炎ウイルスは20数種類以上あり、代表的なものを4型に分類しています。日本人はグループ、ないしはb型といわれるウイルス感染が多く、しかも唯一の抗ウイルス薬であるインターフェロンが効きにくいタイプです。インターフェロンという物質は元々我々の体内に存在しています。これはウイルスの増殖を抑制し、体内から排除させる働きをします。平成4年から保険適用され、これまでに多くの患者さんが治療を受けましたが、このタイプでは約20%にしか効きませんでした。そこで、次に登場してきたのがアメリカではすでに承認されているリバビリンの併用療法です。日本では今秋に承認される予定ですが、難治性C型慢性肝炎の治療効果を上げ、肝癌発生を抑制するものとして期待されています。インターフェロンには副作用があり、しかも治療に6ヶ月間かかるため、時間的制約や費用の面からも治療をためらう患者さんがいるのは確かで、社会や行政の理解と援助が必要な疾患です。
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