メタボリックシンドローム (代謝症候群)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2004年10月1日

メタボリックシンドローム (代謝症候群)

ハイライト

●インスリン抵抗性
●内臓脂肪
●心血管系疾患
●脂肪細胞
●アディポサイトカイン

生活習慣病と動脈硬化性疾患

我が国は戦後の復興と共に貧困から豊かな時代へと変遷し、西欧文化に感化されながら食生活の欧米化が進んだ結果、我々の健康に大きな影響をもたらしてきました。飽食の時代に車社会、リモコン社会、パソコンの普及などで運動不足となり、肥満を背景にした生活習慣病といわれる糖尿病、高脂血症、高血圧が増加してきました。これら疾患の行き着く先は動脈硬化性疾患といわれる脳梗塞、脳出血、心筋梗塞による死であり、その危険性はいくつかの生活習慣病が重なったり、喫煙が加わると飛躍的に増大します。一方、糖尿病ではインスリンの働きが重要ですが、肥満や運動不足によってせっかくのインスリンが効率よく働かないため、高インスリン血症、つまりインスリン抵抗性の状態になっています。さらに高血圧患者でもインスリン抵抗性を認めるため、生活習慣病と動脈硬化性疾患の病態にはインスリン抵抗性が重要な因子と考えられるようになりました。メタボリックシンドロームとはこのインスリン抵抗性を背景にし、内臓肥満、低HDL(善玉)コレステロール、高中性脂肪、高血圧などの動脈硬化性因子が重複した病態で、心血管系疾患の発症に関与しているとして最近注目を集めている症候群です。
従来、動脈硬化性疾患の発症には血清コレステロール値が重要視されてきましたが、メタボリックシンドローム、と呼ばれる内臓脂肪の蓄積を背景とした糖尿病、高脂血症、高血圧などのリスクが重複した状態が最も重要であることが分かってきました。肥満つまり脂肪組織の脂肪細胞はエネルギー過剰の時には中性脂肪として蓄積し、飢餓状態では中性脂肪をエネルギー源として燃やすため、生命維持に欠かせない細胞です。さらに、脂肪細胞には多彩な生理活性物質を分泌することが分かっており、アディポサイトカインと呼ばれて抗動脈硬化、抗糖尿病、抗炎症作用があり、単なるエネルギー貯蔵だけではなく栄養状態に応じてアディポサイトカインを適量分泌しながら種々の臓器の機能調整をしている極めて重要な細胞なのです。この脂肪細胞に中性脂肪が過剰に蓄積して脂肪細胞に負担がかかると代謝が破綻し、生活習慣病、次いで動脈硬化性疾患の誘因となります。しかしながら、体の全ての脂肪細胞が多くの病態に関わっているわけではなく、腹腔内の内臓脂肪(主に腸管膜脂肪)の蓄積が生活習慣病の発症に強く関与していることが明らかとなってきました。我が国の疫学研究によりますと40才以上の男性では約25%にメタボリックシンドロームを認め、心血管系疾患の発症は非メタボリックシンドロームに比べて2.5倍高かったデータが出ており、肥満回避がいかに重要かが分かります。 

メタボリックシンドロームの定義

WHOによりますと、高インスリン血症または空腹時血糖110mg/dl以上に加え、以下のうち2つ以上をもつものと定義されています。
1,内臓脂肪;ウエスト/ヒップ比>0.9(男性)>0.85
  (女性)またはBMI30以上または腹囲94cm以上
2,脂質代謝異常;中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレ
  ステロール35mg/dl未満(男性)、39mg/dl未満(女性)
3,高血圧;140/90mmHg以上か降圧剤内服中
4,マイクロアルブミン尿症

NCEP(National Cholesterol Education Program)によると
1,腹囲;男性>102cm、女性>88cm
2,空腹時HDL-C;男性40mg/dl未満、  女性50mg/dl 
  未満 
3,空腹時中性脂肪;150mg/dl以上
4,血圧;130/85mmHg以上
5,空腹時血糖;110mg/dl以上
   以上のうち3つ以上を満たすものとします 

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