ペットからうつる病気│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2004年9月1日

ペットからうつる病気

ハイライト
●イヌ回虫症
●イヌ糸状虫症
●ネコひっかき病
●パスツレラ症
●Q熱
●カンピロバクター
●サルモネラ腸炎
●トキソプラズマ症
●皮膚糸状菌症

人畜共通感染症

今や日本は空前のペットブームであり、年間およそ6000億円市場となっています。海外からの輸入ペットも増加し、様々な動物が人間社会に取り込まれるなかで人畜共通感染症としてペットからうつる感染症も複雑化の様相を呈しています。記憶に新しいところでは、東南アジアで高病原性鳥インフルエンザに罹患して亡くなるケースがありましたが、幸い我が国では人への感染はありませんでした。また、高齢化社会のなか、高齢者施設や緩和ケア施設で痴呆や心のケア目的でコンパニオンアニマルを盛んに導入するようになり、高齢者や癌末期患者HIV感染者やステロイド使用者など免疫力低下者やペット取り扱い業者などに感染症例が増えています。犬、猫由来の直接的、間接的感染症は30数種類あり、接触や抱擁、排泄物、排泄物で汚染された食品や水を介したり、中間宿主の取り込みによる感染があります。今回は人畜共通感染症のなかでも身近なペット病を紹介します。
<イヌ由来>
(1)イヌ回虫症;イヌの糞便で汚染された公園の砂場で子供が感染します。イヌ回虫の幼虫形成卵をヒトが飲み込むと、第三期幼虫が身体各所、特に肝臓や眼球に移行して症状を引き起こします。患者は1才から3才までの乳幼児中心で、眼症状を来すのは3才から16才、最近では高齢者にも多くみられます。また、回虫の成熟卵をニワトリやシャモ、ウシが食べるとその筋肉や肝臓に移行し、待機宿主となり、それをヒトが生で食べると幼虫移行を起こして感染します。最近、ブタの肺、心臓、腎臓、臀部筋肉、脳にも発見されたため、豚肉の生食でも感染します。症状は、内臓移行型と眼移行型に分けられ、肝臓に寄生した場合は咳、喘鳴、顔色不良、発熱、発育不良、異食症を引き起こします。脳に寄生した場合は中枢神経系症状、てんかん様発作、けいれんを起こします。慢性蕁麻疹、関節痛、関節炎を来すこともあります。眼球に移行した場合は網膜炎、斜視、白色瞳孔、視力障害、失明や、悪性腫瘍と診断されて摘出されることがあります。
(2)イヌ糸状虫症;イヌ糸状虫はイヌの心臓に寄生し、イエ蚊、ヤブ蚊、ハマダラ蚊などがイヌを吸血した際に幼虫ミクロフィラリアを摂取すると2週間で感染幼虫となり、蚊がヒトを吸血する際に感染します。40才以上に多くみられます。ヒト体内での寄生部位は圧倒的に肺が多く、次いで皮下、腹腔、眼、子宮、肝臓、静脈内などです。咳、痰、血痰、胸痛、呼吸困難、発熱、衰弱、肺炎様症状や肺梗塞を起こします。無症状のことも多く、肺結核や肺癌と誤診されることがあります。イヌ回虫症も糸状虫症も経口内服薬で治療できます。
<ネコ由来>
(1)ネコひっかき病;病原体を保有しているネコに引っかかれたり、舐められたり、噛まれて感染します。 飼育ネコの20%程が保菌しおり、ネコは無症状で、関東地方に多い傾向です。ネコに引っかかれて2週間ほどすると受傷部位に赤紫色の丘疹あるいは膿疱が出現し、その1~2週後にリンパ節が腫脹します。熱感、倦怠感、食欲不振、頭痛、関節痛、筋肉痛などを伴い、約2/3の患者に発熱を認め肝機能障害をみることもあります。眼病変を伴うこともあります予後良好で自然に軽快します。
(2)パスツレラ症;舐められたり噛まれてから30分以降、受傷部の発赤、腫脹で、希に髄膜炎や心嚢炎、敗血症で死亡します。抗菌薬が有効です。
(3)Q熱;噛まれたり舐められたり、排泄物の吸入で感染します。発熱、頭痛、筋肉痛で、心内膜炎、肝障害を認めることがあります。抗生剤が効きます。
(4)カンピロバクター;糞便虫のカンピロバクターで汚染された飲食物や食器から感染します。ネコは無症状です。抗菌薬が有効です。
(5)サルモネラ腸炎;汚染された飲食物、食器、手から感染します。下痢、血便、腹痛、発熱で、自然治癒します。
(6)トキソプラズマ症;汚染糞便から感染し、胎児には先天性トキソプラズマ症を発症します。(7)皮膚糸状菌症;接触感染後に紅斑と脱毛を来します。
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