2008年6月1日
胸痛
ハイライト
●知覚神経
●放散痛
●内臓痛
●体性神経
急に胸が痛くなったら
今回は胸痛について概説します。普段の生活のなかで、程度の差はあるにせよ胸の痛みを感じた事がある方は多いと思います。一瞬の痛みから持続する痛み、咳の時の痛みなど様々です。特に年輩の方や、高血圧、糖尿病など治療中の方などは、胸が痛むと心筋梗塞ではないかと心配して来院する方が多いのですが、ほんとうに重大な病気である場合は数%にすぎません。胸という所には心臓、肺、大動脈の他に食道、胸膜、骨、筋肉、乳房、皮膚があり、痛みの原因臓器は様々です。
【心臓・血管】狭心症、心筋梗塞、心膜炎、大動脈瘤、大動脈解離、肺高血圧、僧房弁逸脱
【呼吸器】肺血栓塞栓症、気胸、胸膜炎、気管支炎、肺炎、縦隔炎
【消化器】逆流性食道炎、食道痙攣、胃十二指腸潰瘍
【整形外科】骨折、肋軟骨炎、脊椎疾患、筋肉痛
【神経】帯状疱疹、神経痛
【その他】うつ病、パニック障害。
胸が痛んだ時に重要なのが痛みの内容です。ズキンズキンやチクリチクリ、締め付けられる、灼熱感など、どのような痛みなのか、どこが痛いのか、どの位の時間続くのか、どのような時に痛いのか、痛み以外に何か症状があるのか、などです。早急に病院を受診する必要があったり、救急車を要請するような状況とは、顔色が相当悪いとか、息苦しいとか、冷や汗をかいているとか、意識がもうろうとしてるとか、痛みが20分以上続いて徐々に強くなる時です。
【胸痛の特徴】
胸の痛みはズキズキ、チクチク、表面がピリピリ、あるいは胸全体が締め付けられる、圧迫される、何となくドキドキする、胸が躍るような、胸騒ぎするような、焼けるようなヒリヒリ感などで表現されます。そもそも肺や心臓などの内臓には痛みを感じる知覚神経がありませんので、心筋梗塞などの重大な病気を起こしていても、指で「ここが痛い」ということはかなり珍しいと思って下さい。傷んでいる心臓の筋肉が酸素不足になったり、肺が炎症を起こしていれば、その刺激に対して自律神経を介して胸のかなり広い範囲の全体的な痛みとして感じるのが普通です。ですから、心臓や呼吸器の病気で胸が痛む時は指で指して「ここが痛い」という表現はあまり当てはまらず、漠然とした全体的な痛みであり、さらにみぞおちの方に広がるとか、首の方に重苦しいような痛みが広がるとか、奥歯がうずくとか、右手や左手に痛みが流れて行くような感じ、つまり放散痛の方が目立ちます。従って、この様な痛みの場合には内臓痛である可能性が高いので、病院を受診して下さい。高齢者では心筋梗塞でも胃部不快感で見つかることがあります。
一方、チクチクとかキリキリ、ピリピリなどの表現で「ここの場所」というような限局している場合は体性神経という痛みを直接伝える感覚神経の刺激によるもので、皮膚や胸膜、骨の病気である場合が多いです。
【痛みが起こったときの対応】重大な疾患が疑われたら平らに寝かせて下さい。肺や心臓、大血管の病気ではその機能が低下して脳に血液や酸素が十分に行かなくなると、脳障害から意識障害を招きます。心臓は血液の流れが止まって20分位すると心筋梗塞が始まり、30分経つと心筋梗塞が完成してしまいます。脳の場合はもっと早く、3分間血流が止まると脳細胞が死にますので、脳を守るためには、心臓と脳の位置が平らな状態にあることが重要です。もし、仰向けに寝て苦しいという場合にはやや背中を起こして、何かにもたれる様な形にすると楽になる事があり、この時は心不全が疑われます。
【痛みが起こったときの対応】重大な疾患が疑われたら平らに寝かせて下さい。肺や心臓、大血管の病気ではその機能が低下して脳に血液や酸素が十分に行かなくなると、脳障害から意識障害を招きます。心臓は血液の流れが止まって20分位すると心筋梗塞が始まり、30分経つと心筋梗塞が完成してしまいます。脳の場合はもっと早く、3分間血流が止まると脳細胞が死にますので、脳を守るためには、心臓と脳の位置が平らな状態にあることが重要です。もし、仰向けに寝て苦しいという場合にはやや背中を起こして、何かにもたれる様な形にすると楽になる事があり、この時は心不全が疑われます。