HIV感染症/エイズ(AIDS)Acquired immunodeficiency syndrome│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2004年12月1日

HIV感染症/エイズ(AIDS)Acquired immunodeficiency syndrome

ハイライト
●ヒト免疫不全ウイルス
●後天性免疫不全症候群
●同性間性的接触
●異性間性的接触
●血液凝固因子製剤
●母子感染
●静注薬物濫用

日本におけるHIV感染の現状

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)あるいはエイズ(後天性免疫不全症候群)は1981年にアメリカで発見されました。世界的にHIV感染者数は年々増加しており、死因の1/3は感染症によるもので、マラリア、結核、そしてエイズ(AIDS:Acquired immunodeficiency syndrome)です(※HIV感染者とはヒト免疫不全ウイルスに感染はしているが、無症状の状態のことで、エイズとはその感染によって何らかの症状を発症している状態を言います)。2003年に発表された報告では、世界のHIV感染数はエイズも含めて推定4000万人、年間の新たな感染が500万人、死亡が300万人とされています。アフリカのある国では成人のHIV感染率が40%に達していると推定されています。我が国でもHIV感染者は年々増加しており、本年9月26日付けでHIV感染者数は日本国籍4472人(男3982人、女490人)、外国国籍1865人(男707人、女1158人)、エイズ数は日本国籍2390人(男2203人、女187人)、外国国籍774人(男520人、女254人),
血液凝固因子製剤による感染者は1434人(男1416人、女18人)となっています。我が国のHIV感染者は圧倒的に男性に多く、年々増加していますが、女性では横ばいで推移しています。年齢別では20代と30代で7割以上を占めています。感染経路は、同性間と異性間の性的接触が圧倒的に多く、それぞれ55%、32%です。次いで経路不明、母子感染、静注薬物濫用と続きます。

もう少し詳しくみますと、同性間の性的接触では25才から29才にピークがあり、東京都が56%、次いで東京都以外の関東甲信越ブロックで16%、近畿14%です。異性間の性的接触では30才から34才にピークがありますが、近年は20才代で増加しています。その原因としては性的接触の低年齢化、エイズに対する知識不足、予防に対する低い意識、行政のエイズ撲滅運動により保健所で比較的気軽に検査を受けられるようになったためと思われます。報告が多いのは東京都以外の関東甲信越ブロックで40%、東京都が34%です。全国の献血血液のHIV抗体陽性件数は2002年で10万件当たり1.42、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)では値がさらに高く、2.57という全国の2倍近い値を示しています。この値は先進国の水準に比べて低いものではなく、また年々増加傾向にあり、10年前に比べると約3倍になっています。一方、不法滞在なども含めて我が国の人口の1.2~1.5%にすぎない外国国籍人においては、HIV感染者の32%、エイズの25%を占め、相対的に高い割合を示しているのが特徴です。出身地別で多いのは東南アジア出身者で、過半数を占めています。現在、HIV検査数が減少傾向にあるため、HIV感染を早期に診断することや予防することを若者に啓蒙していくことが重要です。

HIV感染の病態と治療の最前線

エイズウイルスが体内に侵入するとCD4陽性のTリンパ球に入り込んで増殖します。このリンパ球は破壊され、次第にその数を減らしていきます。このリンパ球はヘルパーTリンパ球とも呼ばれ、細胞障害性Tリンパ球の活性化に必須の細胞で、CD4リンパ球が減少すると細胞性免疫不全となり、日和見感染の原因となります。CD4リンパ球が200/?以上ある時期は合併症のない無症候性キャリアといい、数年経過します。治療はエイズウイルスを殺し、その増殖を抑えてCD4リンパ球の減少を防ぐことです。1987年に日本で認可されたAZTは、現熊本大学の満屋教授がアメリカで開発したものですが、耐性化のため長期に使用出来ず、しばらくはHIV感染(エイズ)=死と恐れられていました。ところが、1997年にプロテアーゼ阻害剤が導入されて事情が一変しました。複数の薬を使った多剤併用療法でウイルスの耐性化による治療無効は回避出来るようになりましたが、完全に駆除出来る段階には至っていません。
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