慢性閉塞性肺疾患│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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2001年8月1日

慢性閉塞性肺疾患

咳と痰

慢性閉塞性肺疾患
毎日暑い日が続き、お年寄りのみならず皆が夏ばて気味になっています。子供達は楽しい夏休みをエンジョイしていますが、大人で夏風邪がなかなか治らない人がいます。特に咳や痰が続き、薬がなくなると再発する患者さんがみうけられます。そんな患者さんのなかには単なる風邪の後遺症では片づけられないような人がいて、話をよく聞くと薬を飲むほどではないが慢性的に咳や痰が出る方がいます。そのような場合には慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われます。これは、近年世界中の国々で患者数の増加と全世界で死因第4位として注目されている呼吸器病の疾患概念で、日本でも調査が始まっています。私が医学生の頃は気管支喘息や慢性汎細気管支炎などもひっくるめてCOPDと習いましたが、今では各疾患の病態生理が詳細に解明され、COPDとはほとんどが肺気腫をさし、残りの一部は慢性気管支炎というように変遷してきました。時々咳をしたり痰が出るぐらいで、熱がなくノドも痛くなければわざわざ病院には来ないと思いますし、喫煙者はタバコのせいにしていると思います。しかし、良く考えていただくと、普通の健康体では咳も痰も出ないはずですから、何かが肺に起こっている兆候なのです。たとえタバコにしても、タバコの煙に体が反応してしまっている状態です。これは確実に進行し、息苦しくて日常生活が困難となり、やがては在宅酸素療法になってしまいます。専門家は詳細に病歴を聞き、隠れているCOPDを見つけだし、単なる咳止めによる治療ではなく気管支拡張剤などによる適切な治療と管理が出来ます。

COPDの病態生理と診断

一言で云うならば気道、肺実質、肺血管構造の慢性炎症です。具体的には、肺に炎症を引き起こすリンパ球や好中球、マクロファージが増加して種々の物質(ケミカルメディエーター)を放出し、肺を慢性的に破壊していきます。さらに、肺でのタンパク質分解系の異常や酸化的ストレスが加わり、肺の構造変化を惹起して気道のリモデリング、気道閉塞が進行していきます。これら病態のそもそもの原因はと言えば、先天的なα1アンチトリプシン欠損症を除けばタバコ、職業上の塵埃や揮発性化学物質の吸引、大気汚染、小児期の重症呼吸器感染症などがあります。似たような症状は喘息、うっ血性心不全、気管支拡張症などがありますが、確定診断のためには胸部CT検査やスパイロメトリーという呼吸機能検査が必要であり、一般の開業医には用意されていないので、総合病院でそれらを受けることができます。私どもは東京都老人医療センターの呼吸器科に紹介して病診連携をとっています。
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