ライフスタイルと疾患(各論)│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2006年2月1日

ライフスタイルと疾患(各論)

ハイライト
●消化性潰瘍
●ヘリコバクターピロリ菌
●逆流性食道炎
●過敏性腸症候群
●炎症性腸疾患
●アルコール性肝障害
●非アルコール性脂肪性肝炎

消化器疾患

今月はライフスタイルと消化器疾患についてご紹介します。「胃腸は心の鏡」といわれるように消化管はストレスの影響を最も受けやすい臓器の一つです。消化性潰瘍の発生に精神的、肉体的ストレスやアルコール多飲の関与する例が増えており、若者を含めて年齢層も拡大しています。現代のライフスタイルの多様化とストレス社会のなかで、胃、腸、肝臓、膵臓などの疾患の発生や症状が多様化しています。
[Ⅰ]消化管疾患;
①消化性潰瘍と胃炎:胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因としてヘリコバクターピロリ菌(HP)が関与していることが明らかとなりました。これは1983年にオーストラリア人によって報告された胃に住み着いている細菌で、衛生管理の不十分な幼少期に経口感染するとされています。世界の人口の50%以上、我が国では50才以上の人の70%以上が感染していると推計されています。以前は潰瘍はストレスによるものと考えられていましたが、HPの発見によりほとんどの潰瘍はHPが関与していることが判明しましたが、一部の潰瘍にはHPが関与していないものがあります。胃粘膜を荒らす消炎鎮痛剤やステロイド剤、高濃度アルコール、胃血流障害を引き起こすタバコやストレス、自律神経のアンバランスなどが原因です。
②逆流性食道炎:pH2前後の強酸性の胃液が食道に逆流して食道に炎症を引き起こす病態です。胸焼け、咽頭違和感の他に咳の原因になります。肥満、脂肪食、アルコール、強い香辛料、食べ過ぎ、チョコレートや柑橘類の摂りすぎ、タバコなどの生活習慣で起こりやすくなります。
③過敏性腸症候群:大腸の精密検査をしてもなんら異常がないにもかかわらず、腹痛、下痢、便秘を繰り返す病態です。下痢型、便秘型、下痢便秘交互型に分類されます。多くはストレスのかかる時期に起きるもので、長期にわたって症状が持続しますが、全身状態は良好です。ストレス社会のなかで最も増加している疾患です。
④炎症性腸疾患:小腸と大腸に炎症を来すクローン病と大腸のみに炎症を来す潰瘍性大腸炎があります。いずれも難病に指定される疾患です。かつては日本人には希な疾患とされていましたが、過去10年間で患者数は3倍となり、クローン病は約一万人、潰瘍性大腸炎は約3万人以上になっています。原因は不明で、ストレスや腸内細菌叢の乱れが推定されています。
[Ⅱ]肝疾患;
生活習慣と密接に関係している肝臓病はアルコール性肝障害、薬剤性肝障害、最近クローズアップされてきた非アルコール性脂肪性肝炎です。1人当たりのアルコール消費量は欧米諸国では減少していますが我が国ではなぜか増加しています。その理由は、女性の社会進出で女性のアルコール飲酒量が増えたこと、自動販売機で手軽にアルコールが手に入ること、テレビコマーシャルで発泡酒やカクテルなどの盛んな宣伝などがあげられます。アルコールの適量には個人差があり、また、顔が赤くなる人、ならない人、男と女ではアルコール性肝障害のなりやすさ(女>男)に違いがあります。適度なアルコールは血行を良くし、善玉コレステロールを増やすので動脈硬化の予防になるうえに精神的にもリラックスするため、一日あたり日本酒なら2合、ビール大瓶2本、ウイスキーダブル2杯までは許容範囲です。アルコールを飲み過ぎると肝硬変になり、肝癌や糖尿病、膵炎などの合併症を誘発するばかりか、アルコール依存症にもなりかねません。最近の話題で、アルコールを飲んでないのにアルコール類似の脂肪肝になる人がいることが注目され、単なる肥満による脂肪肝と一線を画して、非アルコール性脂肪性肝炎と呼ばれ、肝硬変、肝癌になるリスクをはらんでいます。
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