高齢者の疾患の特徴-②-│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2006年12月1日

高齢者の疾患の特徴-②-

ハイライト
●心房細動
●洞機能不全症候群
●肺炎
●肺気腫
●逆流性食道炎

循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患

今回も、高齢者の疾患の特徴について概説します。
<循環器疾患>
不整脈;上室(心房)性のものと心室性のものに分けられ、加齢とともに増加するのは心房細動 です。不規則に心臓が脈打つ現象で、発症原因は明らかではありませんが、老化現象で心筋に線維が増生している所見があります。また、甲状腺機能亢進による場合があります。合併症としては、長嶋茂雄氏や小渕首相にも発症した脳梗塞で、不規則に動いている心房内に血栓が生じ、それが脳に飛んで脳血管を詰まらせます。これを予防するにはいわゆる血液サラサラをもたらす抗凝固療法が必要で、薬の種類には効果の弱いものから強いものまであり、納豆や緑黄色野菜が食べれなくなるものもあります。また、心房から心室に電気信号がうまく伝わらなくなったり、心臓のペースメーカーに異常が発生すると脈拍が極端に減少して徐脈(洞機能不全症候群)となるため、ペースメーカー植え込みが必要になる場合があります。
<呼吸器疾患>
(1)肺炎;65才以上の高齢者の年間肺炎罹患率は3~4%で、全年齢罹患率の3倍になり、加齢とともに増加します。
①原因と原因菌;高齢者では嚥下機能の低下、咳反射の低下のため誤嚥性肺炎が多くみられます。吐瀉物が気管に入ると強酸性の胃酸で気管がただれます。経管や胃瘻からの栄養補給者は経口栄養者に比べて口腔内にMRSAなどの病原菌が付着しやすくなっています。また、糖尿病、喘息、心臓弁膜症、心機能低下、肝臓病などの基礎疾患を持っていることが多く、免疫力も低下 しているため易感染性となっています。若年者に多いマイコプラズマ肺炎は希で、細菌性肺炎が多く、なかでも肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌(MRSA)が多くを占めています(肺炎球菌にはワクチンがあります)。クラミジア肺炎も若年者より多く、インフルエンザなどのウイルス性も多くみられます。
②症状;高齢者では症状が軽微であることが多い。発症が緩徐で微熱程度、咳が軽く炎症所見に乏しい反面、呼吸困難や意識障害、脱水や腎機能障害などが現れやすい。

(2)肺気腫;肺が空気で過膨脹になっている状態で、肺胞隔壁の破壊で肺が伸びきり、肺胞内で酸素を取り入れるガス交換に支障を来しています。慢性気管支炎とともに慢性閉塞性肺疾患(COPD)として位置づけられており、非可逆性の気流制限が存在し、スパイログラムによる呼吸機能検査では1秒率が70%以下を示します。発病因子の一つにタバコがあります。喫煙指数(一日の本数×年数)が600以上、継続的な咳、痰があり、労作時の息切れが慢性的にあり、発作性の呼吸困難がない50才以上の人が疑われます。症状は徐々に悪化し、十分な動脈血酸素飽和度が得られなくなると、在宅酸素療法の適応となり、現在患者数は増加しています。 COPDになると呼吸困難の他に食欲減退や体重減少も認めます。

<消化器疾患>
逆流性食道炎;胃酸が食道内に逆流して食道粘膜に炎症を起こします。胸部の胸焼け、咽喉頭部異常感、慢性的な咳、嗄声の原因となり、胃食道逆流症(GERD;gasrtoesophageal reflux disease)と呼びます。従来は欧米人に多くアジア人には少ない疾患でしたが、食生活の欧米化や内視鏡診断の進歩、高齢化などでGERDを認める人が増えています。胃酸逆流の原因として下部食道括約部(LES)圧の低下、食道裂孔ヘルニア、腹圧の上昇などです。50才位までは男性に多く、60才以降は肥満傾向にある女性に多くみられます。症状を悪化させるのは高脂肪食、チョコレート、ココア、酸性食品(柑橘類、トマト、パイナップル、タマネギ、ニンジン)、香辛料、炭酸、アルコール、さつまいも、喫煙などです。治療はヒスタミンH2レセプターブロッカーやプロトンポンプ阻害剤、消化管運動機能改善剤が有効ですが、重症例では手術となります。
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