牛乳について│豆知識コーナー|練馬区 大泉学園の肝臓専門医・内科 大井手クリニック

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豆知識コーナー

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2008年11月1日

牛乳について

ハイライト
●乳脂肪
●カゼイン
●乳清蛋白質
●乳糖
●脂肪球膜
●エネルギー源

成分とその役割

牛乳は栄養価が高く、安全で手軽に摂れる食品であるため、学校給食を初めとして子供の頃から慣れ親しんで飲んでいる食品です。昨今の健康志向の高まりからあれを食べると良い、これを食べると悪いなどと盛んに喧伝される時代になり、牛乳をめぐっては科学的とは言い難い風評が流れ、消費者の混乱を招いています。そこで、今回は牛乳について再確認してみます。
【豊富な構成成分】
顕微鏡で牛乳を見てみると丸い脂肪の油滴が見え、さらに電子顕微鏡を使うとその周りにカゼインと呼ばれる蛋白質と、カルシウムを中心とするミネラルがかたまって出来たカゼインミセルが見えます。牛乳の構成成分としては脂肪が約3.6%、カゼインが2.6%、ミネラルが0.7%、それ以外に乳糖が4.5%、カゼインとは異なる乳清蛋白質が0.6%、さらに微量のビタミンが含まれています。このように、牛乳は12%もの固形成分を含む液体であり、とても栄養素に富んだ食品です。
【整腸、カルシウム吸収を助ける乳糖】
牛乳に含まれる糖質のほとんどが乳糖(ラクトース)です。乳糖は牛乳のみに含まれる特異な糖であり、乳糖分解酵素ラクターゼによってガラクトースとグルコース(ブドウ糖)に分解されます。乳糖の栄養学的特性は、
①エネルギー源である(4kcal/g)
②腸内の乳酸菌の発育を助ける→整腸作用につながる
③腸のなかを弱酸性にしてカルシウムの吸収を助ける
などです。
【油滴の形で栄養価を高める乳脂肪】
乳脂肪は前述のように油滴として存在し、大きさは1~10μm、サラダ油などの一般の食用油と異なり、油滴の周囲には脂肪球膜という膜で覆われているため、お互いが融合することがなく、そのために消化を受けやすく、吸収されやすくなっています。ウシの乳房の中には乳腺胞と呼ばれる小さな袋がたくさんあります。この乳腺胞は乳腺上皮細胞の層でできており、その周りには一日数千~1万リットルもの血液が流れ込み、血液中の栄養分が上皮細胞内に取り込まれ、牛乳の蛋白質、乳糖、脂質などが生合成されます。その後は細胞から出て乳腺胞に溜まり、乳頭からお乳として出てきます。ですから、とても栄養価が高いのです。乳脂肪の栄養学的特性は、
①エネルギー源になる(9kcal/g)
②体内に不可欠な脂肪酸・コレステロールを供給する。また、乳脂肪は酸化・変質しにくい性質を持っています。
【高い栄養価と吸収の良い良質な蛋白質】
牛乳の重要な成分である蛋白質は2種類に大別でき、約8割がカゼイン、約2割が乳清蛋白質です。牛乳蛋白質の栄養学的特性は、
①必須アミノ酸を含む
②消化性が高い
③カルシウムの運びや。牛乳に含まれている必須アミノ酸は全てが必要量を満たしているため、大変にバランスが良くなっています。また、蛋白質を消化管で吸収するためには、これを消化酵素で分解して低分子のペプチドやアミノ酸にする必要があります。牛乳の蛋白質の8割を占めるカゼインは変性しやすく、消化性がとても高い物質です。
残り2割の乳清蛋白質についても、加熱処理すれば変性して消化性が高まります。牛乳コップ1杯200mlを飲んだときの栄養充足率をみますと、18~29才の女性ではカルシウムの1日必要量の38%を摂ることができます。また、ビタミンA、B1、B2、B12、D、パントテン酸は1日の所要量の10~30%を摂取でき、さらに蛋白質と炭水化物は12.4%、脂質は15.6%を充足できます。一方、エネルギーの充足率は7.7%に過ぎないので、「太る食品」ではありません。
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